約1年半の休館を経て、2022年4月にリニューアルオープンした国立西洋美術館。本館の礎を築いた松方幸次郎と同時代を生きたドイツ人のカール・エルンスト・オストハウスのコレクションをもとに設立されたフォルクヴァング美術館の協力を得た、リニューアル記念展を開催中だ。
クロード・モネ《舟遊び》1887年 油彩・カンヴァス 国立西洋美術館 松方コレクション「本展に先駆けて、フォルクヴァング美術館において松方とオストハウスが蒐集した作品を紹介する展覧会が開かれ、当館からクロード・モネ《舟遊び》をはじめ38点を出品しました。来場者が10万人を超えるほど大好評だったようです」(主任研究員 陳岡めぐみさん)
フィンセント・ファン・ゴッホ《刈り入れ(刈り入れをする人のいるサン=ポール病院裏の麦畑)》 1889年 油彩・カンヴァス フォルクヴァング美術館 © Museum Folkwang,Essen松方とオストハウスの作品蒐集には、それぞれどんな特徴があるのだろうか。
「松方は、西洋美術を本格的に紹介する美術館がまだなかった20世紀初頭の日本において、西洋芸術全体を幅広く紹介することを目指しました。一方、オストハウスはフランスやドイツの近代美術を核としています。ただ、いずれも、文化や芸術を通じて社会をよりよくしようという志をもって作られたコレクションといえます」(同)
ポール・ゴーガン《扇を持つ娘》 1902年 油彩・カンヴァス フォルクヴァング美術館 © Museum Folkwang,Essenエドヴァルド・ムンク『アルファとオメガ』:(17)《絶望するアルファ》 1908-1909年 リトグラフ 国立西洋美術館リニューアルされたル・コルビュジエ設計の美術館そのものも、楽しみの一つだ。
「今回の工事では、特に前庭を、可能なかぎり本館完成時の姿に戻しました。ル・コルビュジエが描いた広場空間をぜひ体験してみてください」(専門員 福田 京さん)
国立西洋美術館リニューアルオープン記念
自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで
国立西洋美術館〜2022年9月11日まで
休館日:月曜(8月15日は開館)
9時30分~17時30分(金曜・土曜は20時まで)
入館料:一般2000円
ハローダイヤル:050(5541)8600
URL:
https://nature2022.jp 表示価格はすべて税込みです。
構成・文/安藤菜穂子
『家庭画報』2022年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。