一時的に毎晩、目の奥が痛む群発頭痛は女性患者が増加
群発頭痛では、1〜2か月間、ほぼ毎晩同時刻に1〜2時間、片側の目の奥に激痛が起こります。そして、ある時期を過ぎると急に頭痛がなくなります。
痛みには目の充血や涙、鼻水を伴い、気分が落ち着かなくなります。長時間の昼寝などで睡眠のリズムが乱れたときに起こりやすく、群発期には飲酒が引き金になります。
また、喫煙とも関係します。「若年から中年の男性に多かったのが、最近、女性の患者さんが増えています」。
原因ははっきりしていませんが、脳の視床下部が刺激を受けて三叉神経が痛みを感じ、それによって目につながる動脈が拡張するとともに副交感神経も刺激されて目の症状が出ると考えられています。
市販の鎮痛薬は効かず、片頭痛と同じトリプタンが効きますが、より早く効かせるために医師の指導を受けた上で自己注射します。また、医療用酸素を1分間に7〜10L吸入すると15分ほどで痛みが消えます。
「在宅酸素療法が2021年に保険適用されたのは朗報です。規則正しい生活をすることで頭痛が起きる時刻を一定にし、自己注射や酸素吸入の準備をしておくことをおすすめしています」。
慢性の頭痛がある場合、日本神経学会や日本頭痛学会が認定する専門医の診察を受けましょう。「正確な診断が予防や早期の治療につながり、生活の質が落ちるのを避けられるようになります」。
また、日本頭痛学会のホームページから「
頭痛ダイアリー」をダウンロードできます。
「痛みの強さや持続時間、付随症状、対処法、睡眠や月経、飲酒、天候などの記録をつけておくと予防に役立ち、診断や治療効果の判定がスムーズになります」
一次性頭痛の主な治療法
片頭痛
●痛みが出たら、トリプタン、または非ステロイド性消炎鎮痛薬を服用
●β遮断薬、カルシウム拮抗薬、抗てんかん薬、抗うつ薬などの服用で予防
●抗CGRP関連抗体薬を予防的に月1回注射
●頭痛ダイアリーで自分の頭痛のパターンを把握する
緊張型頭痛
●頭痛体操などで体の緊張をほぐす
●消炎鎮痛薬を服用
群発頭痛
●トリプタンの自己注射
●酸素吸入
すぐに救急車で病院に行くべき頭痛
急な頭痛が起こったとき、今まで経験したことのない強い痛みで、発熱、吐き気・嘔吐、ろれつが回らない、体の片側が麻痺している、けいれんする、まぶしい、目が見えにくいといった症状を伴うときには、くも膜下出血、脳出血・脳梗塞、髄膜炎、脳腫瘍などの危険な頭痛の可能性が高いため、救急車を呼びます。
50代以降で片頭痛のような頭痛を初めて経験した場合も、片頭痛だと自己診断せず、診察を受けることが重要です。
一次性頭痛の診断・治療の専門医
●日本神経学会認定 神経内科専門医名簿URL:
https://www.kktcs.co.jp/jsnmypage/pub/SpecialistList.htm●日本頭痛学会 認定頭痛専門医一覧URL:
https://www.jhsnet.net/ichiran.html