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ゆっくり進行していく慢性腎臓病(CKD)の診断基準は? 異常を放置しないことが重要

2022.08.04

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重症度や症状に応じて、薬や食事制限を組み合わせる


CKDはたんぱく尿、GFR値、糖尿病の有無から重症度が分類され、それに応じた治療が行われます。

CKDの治療の原則は、腎機能を下げる原因となっている糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病や、糸球体腎炎などの腎臓の病気の治療です。

傷んだ腎臓の治療も進んできました。「近年、これまで糖尿病の治療などで使われてきた薬が糖尿病でなくてもCKD患者さんに効果があることがわかるなど、選択肢が増えました」と岡田先生。


また、貧血に対する赤血球の産生を促す腎性貧血治療薬、骨代謝異常に対するリン吸着薬、高尿酸血症に対する尿酸合成阻害薬などの薬が処方されます。

「CKDの治療では、複数の薬を組み合わせて使い、効果をみながら変えていくケースがほとんどです」

CKDと診断された場合には、血管を傷める喫煙をやめることが大切です。また食事制限も必要となります。

高血圧を防ぎ、腎臓のミネラル調節機能に負荷をかけないよう、塩分は1日6グラム未満を目標とします。

たんぱく質は尿中に排出される老廃物のもとになることから、重症度に応じて制限されます。リンやカリウムの制限が必要になることもあります。エネルギーの摂りすぎも肥満や糖尿病の発症や悪化につながるため、調整が必要です。

これらの制限は自己流ではなく、医師や管理栄養士の指導を受けたうえで行います。

「CKD患者さんの場合、薬や塩分制限でどこまで血圧を下げるかは患者さんごとに異なります」と岡田先生。

高血圧そのものは腎臓を含め、血管を傷める原因になります。一方で、腎臓では血圧によって血液が糸球体でろ過されるため、血圧を下げすぎるとかえって腎機能が落ちてしまうのです。

「血圧が高めでCKDと診断されていて、どちらもコントロールがうまくいかない場合には腎臓専門医の診察を一度受けてください」

このような薬や食事制限の組み合わせによってCKDの治療を続けても、腎機能の低下が進んで回復しない場合は人工透析や腎移植が必要になります。

岡田先生によると、治療を続けると腎機能が正常域に留まる人もいれば、急に悪化する人もいて、個人差が大きいとのことです。

いったん発症すると長いつきあいになるCKD。主治医とともにうまくコントロールしていきたいものです。

なお、CKDの予防は、原因となる生活習慣病にならないことです。食塩の摂りすぎを防ぐ(女性は1日6.5グラム未満、男性は7.5グラム未満)、肥満にならない、適度な運動、禁煙がポイントです。

また、自宅で血圧を測定して記録し、高い値が続いたらかかりつけ医に相談するといいでしょう(家庭血圧は最高血圧135mmHg、最低血圧85mmHgが正常域)。



CKDの主な治療法


●糖尿病、高血圧、糸球体腎炎など、腎機能を下げる原因となる病気を治療する(糖尿病の治療薬や降圧薬がCKDの治療に使われることも多い)
●たんぱく質や塩分の適度な制限
●禁煙
●進行した場合には人工透析や腎移植




CKDとサプリメント


CKDの患者が骨粗しょう症対策として骨の材料であるカルシウムやカルシウムの吸収を助けるビタミンDをサプリメントとして飲んでいる場合、高カルシウム血症による脱水状態になりやすく、CKDが悪化する危険性があります。

「カルシウムやビタミンDが過剰になることでも腎臓がダメージを受けます。食事で適量のカルシウムやビタミンDを摂る分には心配ありませんが、サプリメントとして飲む場合にはかかりつけ医に伝えて、定期的に血液検査を受けてください」と岡田先生。

また、過剰なビタミンCも腎臓へのカルシウム沈着を助長するため、CKDと診断された人はサプリメントとして多く摂取するのは避けるほうがいいでしょう。




CKDの診断・治療の専門医


●日本腎臓学会 腎臓専門医名簿
URL:https://jsn.or.jp/medic/specialistsystem/specialist/list

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イラスト/にれいさちこ 取材・文/小島あゆみ

『家庭画報』2022年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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