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川上未映子さんによる、コロナウイルスが蔓延し始めた頃を舞台にした6編の短編集『春のこわいもの』

2022.08.12

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〔今月の本/パンデミックのなかで〕

『春のこわいもの』


『春のこわいもの』

装画/Alex Hanna「Sweet dreams 1」 装幀/名久井直子

川上未映子 著/新潮社


2021年に出版された英訳『HEAVEN』が英国ブッカー賞にノミネートされ注目を集める川上未映子さん。本書は新型コロナウイルスが徐々に蔓延し始めた頃を舞台にした6編の短編集だ。

主人公たちがもとからもっていた不安や鬱憤が、パンデミックの予感によってさらに鮮明になっていく様子が描かれる。

ことに「青かける青」の入院中の主人公「わたし」が「きみ」に宛てた手紙のなかの「自分が自分に、なんだか毎日、取り返しのつかないことをしているような、そんな気持ちがします」という一文が胸に迫る。

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『家庭画報』2022年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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