冷えが汗を皮下に止まらせ、新陳代謝を妨げ、不調をもたらす
蒸し暑いうえに冷房の冷えが加わる夏場に健康維持のカギとなるのが汗の処理です。汗は人体を構成する基本物質の一つである水(すい=血液以外の水分。津液=しんえきともいう)の一部で、体温調整の重要な働きをしています。適度な水分を摂って十分に汗をかくことは夏の体調を整えるための基本です。
しかし猛暑の戸外から冷房の効いた室内に入ると汗腺が収縮し、汗は外へ放出されず皮膚の下に止まった状態になります。皮下には「気」(「血=けつ」や「水」を動かし体を温める作用)や「血」(体に栄養を与え、潤す作用)の通り道である経絡(けいらく)が走っています。
これが汗で詰まって流れが阻害されると、新陳代謝が悪くなって筋肉が収縮し、だるさや痛みを引き起こしたり、内臓の機能が低下して胃腸の不調や生理不順などが生じるのです。
撮影/本誌・武蔵俊介 イラスト/浜野 史 取材・文/浅原須美
『家庭画報』2022年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。