緑内障に詳しい医師とよく相談して治療選択を
レーザー治療や手術は通常は日帰りで実施されます。「いずれも高度な技術が必要で、高額な治療です。必ずしも効果が出ない例もあり、眼球を傷つけることもあります。緑内障に詳しい医師を紹介してもらい、よく相談すると安心です」。
なお、緑内障患者への処方が禁忌とされている薬の一部は開放隅角緑内障であれば使える場合もあります。「日本眼科医会が試験的に配布している“緑内障連絡カード”を出してもらい、他科の医師や薬剤師に見せるといいでしょう」。
目の定期検診を受けましょう
緑内障だけでなく、視力の低下、視野の欠損が起こる目の病気(水晶体が濁る白内障、網膜上で最も光を感知する黄斑が傷む加齢黄斑変性など)は「見えづらさを自覚したときには病気がすでに進行していることが多いのです」と木内先生。
いずれも加齢によって発症・悪化しやすいのが特徴で、「50歳以降、年に1回程度、目のチェックを受けてください」と話します。
眼鏡やコンタクトレンズを処方してもらうとき、老眼鏡を作るとき、花粉症で目がかゆくなったときなどの機会を捉えて調べてもらうのも方法です。
特に糖尿病では網膜症が合併し、失明の原因にもなるので、糖尿病患者は眼科の定期的なチェックが必須です。
緑内障の主な治療法
●薬物療法
プロスタグランジン関連薬、β遮断薬など多くの種類があり、1種類あるいは2種類の組み合わせで、毎日、点眼する。
●レーザー治療
房水の流れが悪くなっている部分にレーザーを当てる。線維柱帯形成術、虹彩切開術などがある。
●手術
房水を排出するために、線維柱帯を切除して新たな経路を作ったり、チューブを入れたりする。
急性緑内障にも注意を
目の痛み、かすみに激しい頭痛と吐き気・嘔吐を伴うとき、脳の病気などとともに急性緑内障が疑われます。
急性緑内障は閉塞隅角緑内障が急激に発症するもので、治療が遅れると失明してしまうことがあるため、救急車で病院に行く必要があります。白内障、抗コリン薬などの薬剤が原因となることが多く、治療は点眼薬、点滴、レーザーによる虹彩の切開などを行います。
白内障がある場合には白内障の手術(人工水晶体を入れる)も行われます。
イラスト/にれいさちこ 取材・文/小島あゆみ
『家庭画報』2022年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。