365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> ネコノヒゲ
花弁のサイズに対し、雄しべ雌しべがこんなに長いのです! ぴんと張った感じがまさに猫のひげ。■属科・タイプ:シソ科の一年草
■花期:6月〜11月
■草丈:40〜60cm
名前を知ると探したくなる花です
本日ご紹介する花は少し地味な印象ですが、咲いているのを見つけてじっくり観察し始めると、その魅力にはまるというか、またどこかで咲いていないか探すのがくせになります。ネコノヒゲ、という植物名がまずかわいらしい! 上(うわ)向きにピンと伸びた雄しべと雌しべはまさに猫のひげ。これは猫好きの方にはたまらない花でしょう。6月から咲き出しますが、夏を過ぎた今が盛りの時期です。
学名のオルトシフォンで呼ばれることもありますが、むしろマレー語のクミスクチンのほうに聞き覚えがある方も多いかもしれません。じつはこのクミスクチンを訳すと「猫のひげ」なのです。マレーシアはこの花の原産地の一つで、葉や茎を乾燥させたものを健康茶として飲む習慣があるそうです。クミスクチン茶は日本でも沖縄などで生産されていて、ティーバッグなどで手軽に入手できます。
花色は白と淡いピンクですが、どちらも涼しげで清楚な印象です。茎が黒みを帯びていて、シックな雰囲気を感じさせます。観光ガーデンより、むしろ個人邸の外周りの花壇で見かけることが多いのですが、愛知県にあるガーデンでは、この時季の花と上手に合わせ、ネコノヒゲを脇役として効果的に使っていました。こんな使い方もあるのか〜、と新鮮な印象を受けました。まずは、ご近所を散策して、咲かせているお宅を見つけてみてください。
真っ白い花と黒みがかった茎のコントラストがしゃれた印象。花は下から上に咲き上がってきます。栽培の難易度
原産地のインドからマレー半島では宿根草ですが、耐寒性が弱いため、日本では一年草扱いとなります。暑さには強いものの、乾燥にはやや弱いので、土の表面がからからに乾いていたら水やりをします。植えつけ時に元肥を施しておけば、追肥の必要はありません。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい ・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。