365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> コルチカム
地面から茎がすっと伸びて大きな花を咲かせます。これで草丈18cmくらいです。■属科・タイプ:イヌサフラン科の夏植え球根
■花期:9月中旬〜10月
■草丈:5〜30cm
秋に咲くクロッカスのような花が美しい
オータムクロッカスという別名でも知られるように、春に咲くクロッカスをふた回りくらい大きくしたような花をこの時期に咲かせます。花色は少し青みを含んだ涼やかなピンク、または白で、地面からすっと伸びた茎の先に花を咲かせる姿は、とてもかわいらしいものです。
長野県のあるガーデンでは、この時期になると、芝生の中から突然コルチカムの群生が出現する、というとてもロマンチックな光景が楽しめます。あるとき、ガーデンのスタッフだと思われたのか、男性のお客さまから尋ねられました。「あの花は切り花を芝生に挿しているのでしょうか?」 コルチカムの生育サイクルを知らなければ、そう感じるのも当然だと思います。
夏〜初秋に球根を植えると、葉は出ず、突然茎がするっと伸びて花を咲かせるのですから。では葉はどうしたかというと、花後の冬〜春にかけて出てきて成長します。6月になると葉は枯れてしまうので、ヒガンバナ同様に葉見ず、花見ずというわけです。
ちなみにコルチカムはサフランなどの球根と同様に、土に植えつけなくても花が咲きます。バスケットなどに球根をいくつか入れ、室内で花を楽しむことも可能です。でも、個人的にはこの花は秋の庭の雰囲気にとても似合うと思うので、花散歩でもどこかに咲いていないかと、この時期は目を凝らして歩いています。
八重のコルチカムの群生は、涼やかでエレガント。これも切り花を地面に挿したように見えるかも…。栽培の難易度
球根の植えつけは8月〜9月。深さ5cm程度に植えつけます。植えつけ後にたっぷり水やりし、その後も雨が降らずに土が乾いているようなら水やりをします。耐暑性・耐寒性ともに強いので、花後も球根はそのまま植えっぱなしでも翌年また開花します。葉が出てきたら成長期なので、3月〜5月は乾燥させないように水やりをします。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。