次の九州は“美味しい”を訪ねて 第10回(全23回) 佐賀県と長崎県は2022年9月に西九州新幹線の開業を控え、旅の目的地として再び注目が集まっています。今回は新幹線が走るエリアを軸に「美味しい」をキーワードに探訪しました。
前回の記事はこちら>> [肥前浜]賀来千香子さんが巡る西九州の旅。小さな宿場町でみつけた日本の最高峰
有明海と玄界灘の2つの海を有し、肥沃な平野に恵まれた佐賀県。豊かな自然の中で育まれた食文化、歴史、伝統工芸は多く、かつて宿場町だった小さな町・肥前浜にも息づいています。九州にゆかりの深い女優、賀来千香子さんが、初秋の肥前浜を訪ね日本が誇る最高峰の数々と出会いました。
日本三大稲荷に数えられる「祐徳稲荷神社」は、年間約300万人の参拝客が訪れる肥前鹿島の名所。参道に広がる見事な風鈴の風景に「一斉に鳴り響く美しい音色にも癒やされます」と賀来さん。山の中腹にある舞台造りのご本殿は、絢爛豪華な極彩色から「鎮西日光」と称される。賀来千香子さん(かく・ちかこ)1982年ドラマ『白き牡丹に』で女優デビュー。以後ドラマ、CMで活躍中。『あしたも晴れ!人生レシピ』(NHK Eテレ、金曜20時)では司会も務める。11月には舞台『吾輩は漱石である』、来年は映画『おしゃべりな写真館』に出演。シャツ36万6300円 靴16万600円/ともにブルネロクチネリ(ブルネロ クチネリ ジャパン) ネックレス2万6400円/ラ・キアーヴェ(ドレスアンレーヴ) インナー、パンツ、バッグ、ブレスレット、イヤリング/スタイリスト私物祐徳稲荷神社
屈指のパワースポットで風鈴の景色に出会う
日本三大稲荷の一つで、商売繁盛、家運繁栄、縁結びなどの御利益があるとされる神社。肥前鹿島藩主鍋島直朝公の夫人・花山院萬子媛が輿入れの際、朝廷内の伏見大神の御霊を分け、1687年に今の地に移したことに由来。鍋島家直系の現宮司は参拝道のエレベーターやコロナ終息祈願の風鈴など、神社を進化させつつ歴史を守っている。
●佐賀県鹿島市古枝乙1855
TEL:️0954(62)2151
「古い町並みが旅情を深め、無二の存在が素敵な思い出となります」
肥前浜にある「御宿 富久千代」では、ご主人の案内により、宿泊客だけが酒蔵への立ち入りを許される。その一角にあるモダンな空間で銘酒「鍋島」をテイスティングする賀来さん。「こんなに贅沢で美味しい日本酒は初めてです」。ガレやラリックのアンティークグラスでいただける演出も魅力。(詳細は8月25日配信の第11回、または『家庭画報2022年9月号』P.66へ)賀来家のルーツが大分・宇佐にあり、肥前島原藩の砲術師範・賀来惟熊(これたけ)が先祖であることを知って以来、私にとって西九州は特別な存在です。
肥前浜宿を訪れるのは初めてですが、伝統的建造物が残るどこか懐かしさを感じさせる町です。驚いたのは、この小さな町に日本酒世界一を受賞した銘酒「鍋島」と、日本初の酒蔵オーベルジュがあること。ご主人の飯盛直喜さんが造り出す日本酒は多種多彩で、飲み比べながら味わうとさらにその世界が広がり、料理と合わせる楽しみも体験できました。
近くには日本三大稲荷の一つに数えられる稲荷神社や希少な木版摺更紗の資料館もあって、ご自分たちの取り組みを熱心に語ってくださるお姿がとても印象的でした。人生を楽しみながら仕事やものづくりに没頭されているのは、心にゆとりがおありだからでしょうね。肥前浜での最高の出会いを通じて、佐賀の豊かさと新しい風を感じました。(談)
江戸時代から続く、酒蔵や茅葺きの日本家屋が残る重要伝統的建造物群保存地区に佇む宿。「町を散策するとかつてここが豊かな宿場町だったことに気づかされます」と賀来さん。ブラウス25万3000円 インナー14万6300円 バッグ12万4000円/すべてジョルジオ アルマーニ(ジョルジオアルマーニ ジャパン) 靴9万2000円/ジミー チュウ パンツ/スタイリスト私物 ネックレス(長)13万2000円/ドナテラ・ペリーニ(日本橋三越本館3階ミグジュアリー) ネックレス(短)82万2800円 リング59万4000円/ともにロイヤル・アッシャー(ロイヤル・アッシャー カスタマーサービス)