“笑い”にもいろんな色がある。直面したその難しさ
「舞台は昭和という僕が知らない時代。わからないことも多いですがその面白さを学んでいます」── 千葉雄大さん
出演者たちが作品へのアプローチを試みている今、タイトルにもある“笑い”というものをどうとらえているのか?
「“笑い”といってもいろんな色があると思います。計算されて成り立っているものもあるし、偶発的に生まれたものもある。同じものでも演じる人によって印象が変わるということもあると思うので難しいですね。ワークショップではワンテンポ遅く台詞を発したほうが伝わりやすいとか、“間”を取ることでコミカルに見えるとか技術的な面について伺いました。さらに、何か面白いことをしようとするのではなくて、その人が真剣にいっているのが面白いのだから、何かをやろうとするよりは“その人であること”が最短の近道だとも教わりました。まだ一度行われただけなので、これから回を重ねることで見えてくる部分もあると思っています。
舞台となる昭和30年代初頭という時代に世の中で起きていることと自分に起きていることの足並みが揃わない感覚は、令和を生きる僕も感じることがあります。『世界は笑う』のポスターを見たとき、芸人さんのお笑いみたいなものではなく、ドロドロしたものや怖さのようなものをはらんでいるものではないかと思いました」
どんな色の“笑い”なのだろう。最後に千葉さんの“日常”についても伺った。
「朝起きて、ご飯を食べるという日常は、不規則な仕事をしている僕にとってすごく大事なことなんです。部屋が散らかると、なんとなく心もそぞろになる。隅から隅まで掃除をするとすごく心が浄化されるので、それを保つためには欠かせなくなりました。コロナ禍になってヨガをしたりピアノを弾いたりしましたが、掃除をして、きちんとした生活をすることがいちばん大事だと思いました」
千葉雄大/ちば・ゆうだい
1989年、宮城県生まれ。2010年テレビ朝日系『天装戦隊ゴセイジャー』の主役で俳優デビュー。以降、日本テレビ系『家売るオンナ』(2016年)、NHK連続テレビ小説『わろてんか』(2017年)、NHK『いいね! 光源氏くん』(2020年)、映画『スマホを落としただけなのに』(2018、2020年)、ミュージカル・ゴシック『ポーの一族』(2021年)など、幅広いジャンルで活躍している。
COCOON PRODUCTION2022+ CUBE25th PRESENTS,2022
『世界は笑う』
劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)が2017年の『陥没』以来、5年ぶりにBunkamuraシアターコクーンで行う新作公演。敗戦後間もない昭和30年代初頭の東京・新宿を舞台に、混沌とした時代を生きる喜劇人と彼らを取り巻く人々を哀しく、そしておかしく描いた群像劇である。
日頃から“昭和”という時代への愛着を公言し、「昭和三部作」をはじめ、昭和の東京をモチーフにした作品を数多く手がけてきたKERAが、初めて“昭和の喜劇人”を題材に選んだ期待作である。
出演は瀬戸康史、千葉雄大、勝地 涼、伊藤沙莉、ラサール石井、銀粉蝶、松雪泰子ほか。
Bunkamuraシアターコクーン〜2022年8月28日
S席1万1000円ほか
Bunkamura:03(3477)3244(10時〜18時)
URL:
https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/22_sekaihawarau/※京都公演あり
表示価格はすべて税込みです。
撮影/岡積千可 構成・文/山下シオン ヘア&メイク/堤 紗也香 スタイリング/寒河江 健
『家庭画報』2022年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。