天野惠子先生のすこやか女性外来 第4回(03) 更年期を境に“守り神”のエストロゲンを失っていく女性の体は、急速に変わっていきます。なかでも骨量と筋肉量が減り血管が衰えていく変化は、すこやかな加齢を妨げる最大の要因に。“骨と筋肉と血流”の健康を保つことの大切さを知り、日々の生活を見直しましょう。
前回の記事はこちら>> 更年期以降の新たなステージをどう過ごすか
女性の元気を支える“骨・筋肉・血流”の三本柱
●前回の記事
骨量と筋肉量は何歳からでも改善できる! まず年齢による変化を知りましょう天野惠子(あまの・けいこ)先生静風荘病院特別顧問、日本性差医学・医療学会理事、NPO法人性差医療情報ネットワーク理事長。1942年生まれ。1967年東京大学医学部卒業。専門は循環器内科。東京大学講師、東京水産大学(現・東京海洋大学)教授を経て、2002年千葉県立東金病院副院長兼千葉県衛生研究所所長。2009年より静風荘病院にて女性外来を開始。脳と心臓の健康を保つカギは「血流」
動脈硬化を防ぐために最も気をつけたい数値
血流を保つために動物性脂肪や塩分、糖分を控え、緑黄色野菜、大豆製品、魚、海藻類を積極的に摂る習慣を。女性は更年期を過ぎると、コレステロール値、血圧値、血糖値など、血流を妨げ、動脈硬化の進行につながる数値が上昇していきます。
天野先生が千葉県で約37万人の男女を対象に行った大規模調査の結果からも明らかなように、加齢とともに男性の値に追いつき追い越す勢いです(下のグラフ参照)。
「私は大丈夫」と思っていた人も脂質異常症や高血圧症、糖尿病の心配が無関係ではなくなるのです。
いずれも対策の基本は、食事内容を中心とする生活習慣の改善にほかなりません。
血流を妨げる3つのリスク
1.脂質異常症
加齢に伴う総コレステロール値の変化(男女比較)LDLコレステロール(悪玉)や中性脂肪の増加、HDLコレステロール(善玉)の減少などにより総コレステロールが過剰となった状態。
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エストロゲンにはLDLコレステロールを肝臓に取り込み、HDLコレステロールを増やす働きがある◆
悪化すると...血管壁にコレステロールが蓄積する
2.高血圧症
加齢に伴う収縮期血圧値の変化(男女比較)心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押す力(血圧)が高い状態が続く病気。
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エストロゲンには血管を拡張させる働きがある◆
悪化すると...血管内壁が傷ついてコレステロールが血管内に入りやすくなったり、血管が硬くなる
3.糖尿病
加齢に伴う空腹時血糖値の変化(男女比較)血液中の糖の濃度(血糖値)が高い状態が続く病気。
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エストロゲンにはインスリンの効能を高める働き(インスリン感受性という)がある(血液中の糖はインスリンによって細胞内に取り込まれ、脳や筋肉を動かすエネルギー源となる)
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悪化すると...血液中に増えた糖が血管を傷める
【脂質異常症・高血圧症・糖尿病が動脈硬化の進行につながる】
動脈硬化とは動脈の壁にコレステロールがたまり、血管が硬くなったり狭くなったりして血液の流れが悪くなった状態。重い病気の要因となる
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脳に起こると→脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など
脳血管障害(脳卒中)
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心臓に起こると→狭心症、心筋梗塞など
虚血性心疾患