美しさとボリューム感は、まさに王の風格！「ジニア」の新品種‘キング’シリーズに大注目

8月の花「ジニア」

生産者の吉村 学さんが‘クイーン’シリーズから改良・育種した‘キング ダークレッド’を利用したアレンジ。つや感のある赤いバラと比べるとマットな質感がよくわかります。その対比も考えて、花選びをしました。赤と緑色の花合わせに、白地に緑色のストライプが涼しげなパフィオペディルムを載せて仕上げました。

クイーンとキング。最強のコンビがジニアを牽引！

バラともリシアンサスとも、ダリアとも違う、ジニアならではの花色の魅力。それは何なんだろうと考えていたら、あることに気づきました。ジニアの花弁にはざらざらした感触があるのです。いわゆるマットな質感のため、花色に光を吸い込むような奥深さがあります。輝くような花色が多い中、ジニアのマットな花色はかなり個性的で、それが大きな魅力となっているのだと思います。


6月から9月いっぱいまで出回るジニアは、水揚げがよく、日もちするので夏の贈り花の主役として活躍してくれます。豊富な花色はどれも個性的で、とくに‘クイーン’シリーズは、華やかな中にアンティーク感があります。ただ、‘クイーン’シリーズはカタログで見ると完全な八重咲きなのですが、出荷される花には一重や半八重なども交じり、花色も濃淡の幅があります。

ばらつきがあるのはこのシリーズの特性なのですが、なかなか花形や色が固定しないことに悩み、なんとかしようと立ち上がった生産者が、福岡県糸島市の「ニューセンスフラワー吉村」の吉村 学さんです。咲いた花から花形も花色もきれいなものを選抜して育種する作業を重ね、生み出したのが完全八重咲きの‘キング’シリーズです。これぞ、美しい花を作りたいという生産者さんの執念！

現在、‘キング’シリーズを生産しているのは吉村さんだけで、数量が限られているため、市場で見かけたら仕入れるようにしています。



吉村さんが生産した‘キング ダークレッド’。完全八重咲きの花姿が美しく、ボリューム感たっぷりです。

じつは、贈り花を制作する側から見れば、ばらつき＝幅があること決してマイナスではありません。贈り花のイメージに合わせ、また、挿す位置に欲しいボリューム感などから花形を選ぶことができるのですから…。クイーンとキングがいるなんて、花屋にとってこれ以上心強いことはありません。ますますジニアを利用した贈り花を制作する機会が増えると思います。