365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> ホトトギス
白地に鮮やかな紫色の斑点が入るホトトギスの花にはどこか気品があり、古くから茶花として利用されています。■属科・タイプ:ユリ科の宿根草
■花期:7月〜10月
■草丈:10〜80cm
気品ある個性的な花は秋の茶花でもおなじみ
本日は、鳥の名前にちなむ花を紹介します。秋の茶花として古くから親しまれてきたホトトギスです。東南アジア原産で、日本にも10種以上が自生しています。
私はこの花が大好きで、ホトトギスと聞けば花が頭に浮かびますが、さて、皆さまは花と鳥、どちらを先に連想されますか? 信長、秀吉、家康の「鳴かぬなら〜」の3つの句もありますし、やはり鳥を思い浮かべる方が多いかもしれません。
ホトトギスの花は白地に紫色の斑点が入るのが特徴で、それが鳥のホトトギスの胸部の羽毛の模様に似ていることからこの名前がついたといわれています。
ホトトギスは不思議な力を持つ、吉事の際に現れる霊鳥とされ、鳳凰(ほうおう)などとともに尊ばれていたそうで、その格調の高さが花のホトトギスにも通じることから、茶花や生け花に利用されていたそうです。ちなみにホトトギスの英名はToad Lily。美しい斑点は悲しいかなヒキガエルの模様に例えられています。
さて、ホトトギスは早いところでは7月から咲き出しますが、長い枝にたくさん並び咲くのが見られるのはちょうど今頃です。山野草のように思われがちですが、各地で自生していた種類をもとに園芸品種も作られ、個人邸の庭でも楽しめる花です。
ヤマホトトギス、サツマホトトギス、タイワンホトトギスなど、各地に特徴のある品種が自生し、それをコレクションする愛好家も多いそうです。ご近所にコレクターがいらっしゃったら、ぜひ見せていただきたい!
日本に自生するので、適した環境に植えれば、管理の手間もそれほどかからず、数年花を楽しめます。栽培の難易度
明るい日陰で風通しがよく、湿度もそこそこある環境を好むので、落葉中高木の下などが適した環境といえます。環境さえ適していれば、放任でもよく育ちます。耐寒性があり、関東以西の温暖地・暖地では防寒対策なしでも越冬します。寒冷地では、腐葉土などで株元をマルチングしておくのがおすすめです。冬季には地上部はなくなりますが、3月下旬には新芽が動き出します。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。