365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
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公園の花壇で紅葉するコキア。絶景のコキアも魅力的ですが、ご近所で赤く染まるコキアを見つけるのも楽しいものです。■属科・タイプ:ヒユ科の一年草
■観賞期:6月〜11月(紅葉は10月〜11月)
■草丈:50〜100cm
一年草でこれだけ美しく紅葉するのは珍しい!
春のネモフィラ、初夏のラベンダー、夏のヒマワリ、秋のコスモス。1種類のみの植物が広いスペースに群生し、花色で埋め尽くす絶景は各地に名所があり、とても人気があります。今回ご紹介するコキアも花の絶景でよく利用されますが、異なるのはそれが「花色」ではなく、茎葉の「紅葉」であること。これから各地で紅葉も見られるようになりますが、それはカエデなど樹木であり、一年草でここまで美しい紅葉の景色を生み出せるのはコキアくらいしかないと思います。
コキアは英名をバーニングブッシュといい、「燃える低木」という意味です。たしかにコキアの紅葉は燃えるという形容がふさわしい鮮やかな紅色です。絶景でよく話題になりますが、公園や個人邸の外周りの植栽でもコキアはよく見かけます。美しい紅葉の季節はもちろんですが、その前のフレッシュグリーンの時期、赤く色づき始める時期、そして紅葉後の枯れ色と、時期によって異なる色が楽しめるのもコキアの魅力だと思います。
観賞用に利用されるのは、おもにハナホウキという種類で、ふっくらとした円錐形の株姿のかわいらしさも魅力の一つ。コキアの絶景を見に遠出をしなくても、この時期には紅葉したコキアをご近所の散策で見つけることもできると思います。完全に紅葉する前の、赤と緑が入り混じるグラデーションも美しいので、お見逃しのないように…。
茨城県ひたちなか市にある国営ひたち海浜公園のコキアの絶景。「みはらしの丘」には約3万2000株のコキアが植えられ、10月の中旬には燃えるような赤に紅葉します。完全に紅葉するのは10月中旬の7日〜10日間のみだそうです。栽培の難易度
初夏にポット苗が出回りますが、タネからでも比較的容易に栽培できます。タネまき適期は4月〜6月。日当たり、水はけのよい場所に植えつけます。痩せ地でもよく育ち、逆に養分が多すぎると株がひょろひょろと軟弱に育つので、花壇に植える場合は元肥を施さなくてもよく、追肥も必要ありません。多湿が苦手なので、地植えでは水やりの必要もありません。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。