365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> 鷲澤さんのダリア
鷲澤さんのダリアを世界に知らしめたのが、この‘黒蝶’。それまではここまで黒みをもった花色はダリアにはなかったそうです。日本でもこの品種の登場からダリアブームが巻き起こり、1990年代にデビューして以来、いまだにとても人気があります。気候や土壌など環境によって、赤みが強くなることもあります。■属科・タイプ:キク科の春植え球根
■花期:6月中旬〜11月
■草丈:80〜150cm
世界に誇る日本生まれのダリアです
ダリアは6月中旬から咲き出し、盛夏に一時、開花を休んで秋に再び花を咲かせます。気温が下がり始めると花色がより鮮やかになり、他の季節よりさらに見応えのある花姿になります。周囲に少しずつ枯れ色が混じる中で、鮮やかな花色で凜と咲き誇る秋のダリアに、ドラマチックな雰囲気を感じるのは私だけではないと思います。
ダリアにはたくさんの種類があるので、本日と明日、2回に分けてその魅力を紹介します。
私は日本は世界に名だたるダリア大国だと思います。日本のダリアの育種は世界でもトップクラスで、毎年のように新品種が登場し、品種が非常に豊富に出回ります。日本各地にダリア園があり、観光ガーデンでもこの時期には多くのダリアを楽しむことができます。
また、個人でダリアを育てている方もとても多く、一般の方々も新品種を含め、さまざまな品種を咲かせています。ここまで広くダリアが普及している国は世界でもなかなか見当たりません。
これほどダリアを楽しめるようになったのも、優れたスキルと熱意をもつ育種家さんたちのおかげで、その先駆者が秋田県秋田市にある秋田国際ダリア園を立ち上げた鷲澤幸治さんです。鷲澤さんは商船会社のエンジニアをしていた当時に立ち寄ったカナダのバンクーバーで、個人邸に咲く華やかなダリアにひと目惚れし、帰国してからはひたすらダリアの栽培に情熱を注ぐ日々を送っています。以前は仏花として切り花での流通がメインだったダリアを、さまざまな新品種を生み出して球根を普及させることで、切り花でもガーデンでも、なくてはならない人気者に押し上げました。
今回は、鷲澤さんが生み出したすばらしいダリアのほんの一部を紹介します。個人邸でも栽培されている品種なので、ダリア園に出かけなくても、ご近所の散歩で美しく咲く姿に出会えるかもしれません。
1987年に秋田国際ダリア園をオープンさせた鷲澤幸治さん。毎年600〜700種類を栽培し、そのうちの約200種は新品種です。切り花で大人気の‘NAMAHAGE’シリーズも見られます。開園は8月13日〜11月初旬まで。栽培の難易度
球根の植えつけ適期は3月下旬~4月。サクラのソメイヨシノが散った頃が目安です。寒冷地では遅霜の心配がなくなってから植えつけます。日当たり、水はけがよく、風通しもよい場所を好みます。植えつけ時に元肥を施し、深さ10cmほどの位置に球根の発芽点を上にして植えつけます。植えつけ後にたっぷり水をやり、地植えの場合は土がからからに乾いてきたら水をやる程度でかまいません。主枝に葉が3〜4枚ついたら中央の芯を摘んで(摘心)、わき芽を増やすと花数が増えます。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。