365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> エンジェルストランペット
アプリコット色の花が優しい印象のエンジェルストランペット。樹が大きく育ってくると、一度に50〜100輪も花をつけることもあります。■属科・タイプ:ナス科の落葉低木
■花期:5月〜11月
トランペットのような大きな花が長く咲きます
私はつい、初めに覚えたダチュラの名前で呼んでしまうのですが、現在はダチュラとは別のブルグマンシア属に分類されていて、学名のブルグマンシアの名で流通することもあります。大きな漏斗状の花がぶらさがるように咲く姿がとても印象的で、一度見たら忘れられないほどインパクトがある熱帯花木です。一時期、ご近所でこの花木を植えているお宅が3軒ほどあったので、熱帯の花木でも温暖地では冬越しが可能ではないかと思います。
ちなみに近所にある植木屋さんにはとても立派なエンジェルストランペットがあり、大きな花が一度に50輪くらい咲くときもあって、それを眺めるのを楽しみにしていたのですが、今年、気がついたらその木がなくなっていて…残念。エンジェルストランペットは人気が高いので、きっとどこかのお宅に植えられたのだと思います。
花は5月から咲き出し、晩秋まで何度も繰り返し咲きます。長年ご近所のエンジェルストランペットを見ていると、特に今くらいの時期に花が多く咲くので、散歩道で探してみてください。種類によって、夜に強い芳香を放つものもあります。
なお、エンジェルストランペットは、江戸時代に薬用植物として伝来し、おもに麻酔などに利用されていたそうです。花だけでなく、葉や樹液にも毒性があるので、絶対に食べないように注意してください。
栽培の難易度
日当たりがよい場所の、水はけのよい土壌に植えつけます。風で倒伏しやすいので、風当たりの強い場所は避けてください。病害虫の心配もあまりなく、比較的管理しやすい熱帯花木です。開花が一段落したタイミングで、伸びすぎた枝を剪定します。温暖地では春に枯れ枝を取り除く程度の剪定をします。寒冷地では雪が積もる前に、株元から30〜40cmのところで切り戻しておくと冬越ししやすくなります。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。