365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> ミューレンベルギア
繊細な紅色の花穂が美しいミューレンベルギア・カピラリス。軽やかな存在感はグラスならではの魅力です。■属科・タイプ:イネ科の宿根草
■花穂の観賞期間:9月~11月
■草丈:90〜150cm(花穂も含む)
繊細な赤の花穂が幻想的な景色を生み出します
秋のオーナメンタルグラスの中で、いちばん魅惑的なのがミューレンベルギアではないかと思います。多くの種類がありますが、現在、日本でよく利用され、注目を浴びているのはミューレンベルギア・カピラリスです。
それまではごく細い葉が茂っているだけの目立たない存在だったのが、秋になって花穂が上がると、誰もが感嘆するほどの美しさに。紅色の花穂はとても繊細で、まるでスモークのよう。それが秋の日差しを受けてキラキラ輝くのですから、もうたまりません。何度も何度もシャッターを切ってしまうほど魅力的な光景です。
観光ガーデンでは以前からよく利用されていましたが、最近では個人邸の外周りでもミューレンベルギアを見かけるようになりました。その魅力がどんどん浸透している感じがあり、このグラスにひと目惚れした私としてはとてもうれしい気持ちです。
大株になると花穂の本数も増え、より存在感を示します。存在感といっても、自身が目立つというより、周囲にある花やグラス類を取り込んで、幻想的な景色を生み出すところがミューレンベルギアの大きな魅力ではないかと感じています。もしご自宅で植える場合は、周囲にこの時期に咲く宿根アスターやコスモスなどの花と合わせると、素敵な景色になりますよ。
ミューレンベルギアの煙るような花穂越しに宿根アスターが咲いていました。幻想的な景色が秋の庭によく似合います。栽培の難易度
耐寒性・耐暑性ともにあり、丈夫なグラスで、常緑性で冬でもシルバーがかった緑色の葉が枯れずに残ります。日なたの水はけのよい場所を好みます。夏の高温多湿がやや苦手なので、風通しのよい場所を選んでください。痩せ地でもよく育つので、施肥の必要はありません。秋の花穂が枯れたあとに、地際から10cmくらいの所で切り戻すと、翌春に再び新しい葉が出てきます。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。