【9月の食養生】
◆白ねぎとしょうがのスープ
しょうが2グラムと長ねぎ(白い部分)約60センチを細かく刻み、400mlの水(もしくはだし汁)で10分ほど煮て、塩で薄めの味にととのえます。味噌仕立てやお粥にしてもよく、喘息の場合はしそを加えるとよいでしょう。
頭痛や肩こりがひどいときはくず粉を溶かすとより効き目が増します。熱いうちに飲み、厚着をして汗をかくようにすれば回復も早いでしょう。
◆ゆり根とぎんなんのスープ
ゆり根4個を400mlの水で全体量が約半分になるまで煮詰め、塩で薄く味をつけます。ゆり根には微熱を取る作用もあります。慢性化した咳にはゆり根にぎんなん3、4個を足して一緒に煮詰めたスープもおすすめです。
◆しそ入りの梨ジュース
梨(洋梨ではなく日本の梨)2個の皮をむいて種を除き、すりおろします。しその葉4枚を刻んで鍋に入れ熱湯200mlを加えて少し冷まし、すりおろした梨を混ぜ合わせます。ゆっくり飲んで渇いた喉を潤しましょう。
【漢方薬局だより】
顔を見ればわかる、子どもの喘息体質鼻炎や喘息の人が次々と漢方相談に訪れる春と秋。春の症状の多くは夏に向けて軽くなりますが、秋に来た人は寒くなるにつれて重症化する恐れがあるので、より慎重な対応が必要になります。
お子さんの場合、顔を合わせただけで喘息体質だとわかることがあります。おでこを見ると左右の髪の生え際と眉毛の間に産毛が密に生えていたり、目の下の肌が帯状に黒ずんでいたりする特徴があるのです。「五行説」によると「秋―肺―体毛―皮膚」というつながりがあり、子どもほど見た目にはっきりと現れやすいといえます。
親御さんに聞くと、「頭が濡れるほど寝汗をかく」との話も。肺の力が弱いと皮膚を引き締められず、汗のコントロールができないのです。異常なほどの食欲も発作の前触れです。喘息対応の原則は食養生。内容と量に気をつけるだけでだいぶ楽になるでしょう。
〔解説してくださったかた〕横浜薬科大学特任教授・薬学博士 漢方平和堂薬局店主 根本幸夫先生1947年生まれ。1969年東京理科大学薬学部と東洋鍼灸専門学校を同時に卒業後、さらに鍼灸と中国医学を学ぶ。「普段の生活こそが治療の場」をモットーに、漢方平和堂薬局(東京都大田区)では多くの人々の健康相談にのり、養生法をベースに漢方薬処方を行う。(社)日本漢方連盟理事長。前・横浜薬科大学漢方和漢薬調査研究センター長。著書多数。 撮影/本誌・武蔵俊介 イラスト/浜野 史 取材・文/浅原須美
『家庭画報』2022年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。