親と自分のために──知っておきたい認知症介護の話 第9回 認知症に向き合うには事前の備えが大切です。介護する側とされる側、お互いが幸せに過ごすために、さまざまな分野の専門家から具体的なアドバイスを伺います。
前回の記事はこちら>> 〔今月の専門家〕社会福祉士・介護支援専門員 岩澤 純(いわさわ・じゅん)さん特別養護老人ホームの介護職を経て在宅介護支援センターのソーシャルワーカー、介護支援専門員(ケアマネジャー)に。25年以上にわたり、さまざまな在宅介護サービスや介護施設の運営に携わる。元公益社団法人長野県社会福祉士会理事、社会福祉学修士。利用することが多いのは自宅で受けられる「居宅サービス」と「地域密着型サービス」です
「介護保険で提供されるサービスは、居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービスの3種類に分類されます。認知症の人を含め、要支援者・要介護者が最初に利用することが多いのは居宅サービスと地域密着型サービスです」と介護保険制度に詳しい岩澤 純さんは説明します。
居宅サービスとは自宅への訪問や施設への通いによって提供されるサービスのことです。地域密着型サービスは住み慣れた地域の中にある施設から提供されるサービスのことをいいます(下表参照)。
認知症の人と家族が利用できる主な介護保険サービス
厚生労働省HP「介護保険の解説 サービス編」などを参考に作成「認知症の人が活用したいのはデイサービスと呼ばれる通所サービスで、認知症の人専用のデイサービス(認知症対応型通所介護)もあります」。
デイサービスに定期的に通うことで認知症の人の生活にリズムが生まれ、心身の健康維持だけでなく症状改善の効果も期待されます。また、家族にとっては休息となる「レスパイトケア」の役割を果たし、介護を長続きさせるうえでも早期から定期的に利用するのがよいといわれています。
「認知症の人は知らない場所に行きたがらないことが往々にしてあり、それが利用の際にネックになることがあります。ケアマネジャーに相談して本人が喜んで通えそうなデイサービスを探してもらい、ご家族も一緒に見学してから決めましょう」と岩澤さんはアドバイスします。