錦秋のおこわ
写真/佐伯義勝 黄飯とおこわの器=根来塗野弁当、椀=紅葉文蒔絵京塗煮物椀「冬至のかぼちゃや柚子湯を尊ぶように、日本人にとって“黄色"にも邪気払いの意味があります」と教えてくださった柳原一成さん。くちなしの実でもち米を黄色く染めた「黄飯」は、近茶流に代々伝わる味です。彩り鮮やかな具を何種類も加えれば、おもてなしの食卓にもぴったりです。
「子どもたちが小さい頃は型で抜いて、遠足や運動会に持たせたりもいたしました」。(2007年10月号)
黄飯(おうはん)(奥)材料(作りやすい分量)と作り方
(1) くちなしの実1~2個を包丁で2つに割り、水3カップと中火にかける。鮮やかな黄色になったら火を止め、ペーパータオルでこして冷ます。
(2) もち米3カップをといでボウルに入れ、ひたひたになるまで(1)をはり、黒豆の蜜煮の蜜大さじ1と塩小さじ1/3を加え、軽く混ぜて5~6時間おく。
(3)(2)をざるに上げて水気をきる。蒸しふきんを敷いた蒸籠に中央をすり鉢状にして入れ、湯が沸騰した釜の上にのせてふたをし、強火で40分蒸す。途中10分おきにもち米を箸で返しながら、少しずつ打ち水をする(打ち水は黒豆の蜜大さじ1と水1/2カップを合わせたもの。分量は炊き上がりで加減する)。
(4)もち米につやが出て箸につくようになったら、黒豆の蜜煮150グラムを軽く混ぜて5分ほど蒸し、盤台にあける。
錦秋の黄枯茶(きがらちゃ)おこわ(手前)材料(作りやすい分量)と作り方
(1) もち米3カップはといで水気をきり、ボウルに入れて水2カップをはり、醤油大さじ2、薄口醤油大さじ1、みりん大さじ1を加えて半日おく。
(2) しめじ100グラムは1本ずつに分ける。巻き海老小12尾は頭と背わたを取り、殻付きのまま酒塩(酒大さじ3・塩小さじ1/2)でいり、殻をむく。ぎんなん8個は色よくゆで、薄皮をむき、2つ割りにする。だし1/2カップ、薄口醤油・みりん各大さじ1、塩小さじ1/5を合わせ、しめじと巻き海老をさっと煮て、火を止める。
(3)(1)をざるに上げて水気をきり、黄飯と同様に蒸籠に入れ、強火で40分蒸す。同様に打ち水(もち米をつけたもの)をする。
(4)もち米につやが出て箸につくようになったら、(2)と栗の甘露煮小18個を入れて4~5分蒸し、盤台にあける。