鶏むね肉はフライパン蒸しでしっとり
文・タサン志麻
今回ご紹介する“シェーブルチーズのサラダ”も、私がフランスに行くと必ず食べるもののひとつです。
シェーブルチーズとは山羊のチーズのこと。私は大好物ですが、少しクセがあるので苦手な方はカマンベールなどお好みのチーズで代用してください。
カリッと焼いたバゲットにあつあつとろとろのチーズ、みずみずしい葉野菜、酸味のきいたドレッシングという取り合わせはシンプルですが、とてもバランスのよいサラダです。
メインディッシュは鶏むね肉をたっぷりの野菜で蒸しました。作り方はフライパンに重ねて火にかけるだけなので非常に簡単です。
おいしく作るポイントは、いつものように鶏肉にしっかりと塩をすること。この塩は鶏肉だけの味つけではなく、野菜の味つけにもなるので、塩を控えると鶏肉の旨みを引き出しきれないまま火が入ってしまいます。
目指す仕上がりは、鶏肉にしっかり味が入り、野菜は穏やかでやさしい味。そうすると味のメリハリがつき、鶏肉の旨みと野菜の甘さが引き立ちます。
仕上げにお好みのハーブを数種のせると、フレッシュな香りや食感がアクセントになって食べ飽きません。野菜は蒸すと水分がたっぷり出てくるので、仕上げに必ず味見をして味をととのえます。鶏むね肉は脂肪分が少なくパサつきがちですが、野菜で包むようにしてやさしく火を入れることで、しっとり仕上がります。
手際よく作るには、まずサラダの野菜を洗って冷蔵庫でシャキッとさせます。そのあとメインディッシュの野菜を切ってフライパンに半量入れ、鶏肉を重ねて残りの野菜を加え、水とオイルを注いでふたをして火にかけるだけ。
チーズをのせたバゲットをオーブンに入れるのは、テーブルについてからでもいいくらいです。
シンプルサラダと火にかけるだけのメインディッシュは、忙しい日やちょっと疲れた日にぴったりな献立ではないでしょうか? パンを焼いている間、フランスにいる義母ならテーブルに座ってワインを開けているでしょう。私はというと......子どもたちと遊びます!
◆志麻さんのキッチンが知りたい!◆
あつあつの肉は落ち着かせてから切る
肉を切り分けるとき、あつあつの肉に包丁を入れていませんか。実はこれ、せっかく上手に火が入った肉を台なしにしてしまうのです。
「火からおろした直後は、まだ肉の中の水分がぐつぐつ動いている状態。切ると水分が流出しやすく、また湯気となって抜けてしまうんです」と志麻さん。
少しおくと落ち着き、水分をキープしたまましっとりと仕上がります。