やせていても、加齢に伴い発症リスクが高まる
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2019年)では、「20歳以上で糖尿病が強く疑われる者」の割合は男性19.7パーセント、女性10.8パーセントと高率で、この数値は年齢が上がるにつれて高くなります。
「2型糖尿病の発症には年齢でみると2つのピークがあります。1つは壮年期の、主に肥満が引き金となるものです。もう1つは中年から老年期で、この時期にはやせ型の人でも発症しやすくなります」と植木先生。
加齢とともにインスリンの分泌が低下する一方、肝臓に次いで糖を多く取り込む組織である筋肉の量が減り、血糖がだぶつきやすくなるため、加齢は糖尿病のリスクとなります。
「なかでも、やせ型の女性は筋肉量が少なく、インスリンの効きが悪いことが明らかになっています。肥満の改善は大切ですが、中年期以降に過度なダイエットなどで筋肉量を減らしてしまうと糖尿病のリスクが上がります」。
糖尿病の特徴
●血液中の糖が多い状態が続き、全身に影響を与える
●インスリンの作用低下(インスリンの分泌不足、インスリンによる臓器での糖の取り込みの低下)が原因
●主に2つのタイプがある(インスリンを分泌する膵臓のランゲルハンス島の炎症による1型糖尿病と、遺伝的素因や肥満などによってインスリンの分泌や効きが悪くなる2型糖尿病)
●初期には症状はほとんどない
●進行するとのどの渇き、頻尿、手足のしびれなどが出て、放置すると昏睡状態に陥ることがある
●脳梗塞、心筋梗塞、腎症、網膜症、神経障害など全身に合併症を起こす