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自覚症状がないまま重大な合併症を引き起こす「糖尿病」。検査や治療の方法は?

2022.09.16

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食事と運動、薬で血糖をコントロールする


糖尿病の治療の基本は食事療法と運動療法、薬物療法です。「治療で血糖をコントロールすれば合併症を防げます」。

食事療法では、エネルギー摂取量、栄養のバランスを調節し、3食を規則的にゆっくりと腹八分目で食べること、食物繊維を多く摂る、間食をしないことなどがポイントです。食品交換表を使っての献立作りを指導される場合もあります。

運動は、ウォーキングや水泳のような有酸素運動と筋肉を増やす筋力トレーニング(レジスタンス運動)を組み合わせます。食事から1時間後くらいに運動するとインスリンの巡りがよくなり、血糖値が下がります。また、長期的には臓器での効きを高めることも知られています。


薬物療法では、患者の状態や年齢、認知機能などに応じて薬剤が選択されます。

高血糖が続いていて、すぐに血糖を下げる必要がある場合には、インスリンを自分で皮下注射します。インスリン注射薬には効きの速さや注射の回数などが異なる多くの種類があります。患者はインスリン投与の際に指先に極細い針を刺し、血糖値を測ります。腕などに装着して継続的に測定できる装置もあります。

飲み薬も多様です。「よく処方されるのはインスリンの分泌を促進するDPP-4阻害薬、肝臓で糖を作りにくくするビグアナイド薬、糖の尿中への排出を促進するSGLT2阻害薬などで、単剤で、あるいは併用して使われます」。

風邪などで体調が悪く、食事が摂れない日(シックデイ)にはインスリンや飲み薬によって血糖が下がりすぎることもあれば、インスリンや薬を使用しなかったために高血糖や血液が酸性になるケトアシドーシスを起こすこともあります。

「シックデイの対応は薬の種類によって異なるので、あらかじめ主治医に確認しておいてください。迷ったら、電話などで早めに問い合わせを」。

治療中には腎臓や目、神経、皮膚などのチェックも必須です。「合併症についてしばらく調べていないようなら、患者さん自らが主治医に検査してほしいと告げるのもいいと思います」。

治療を受けていても血糖コントロールがなかなかうまくいかない場合には、日本糖尿病学会が認定する糖尿病専門医に相談するのもいいでしょう。

糖尿病の予防には、肥満の改善、エネルギーや糖を摂りすぎない、適度な運動が重要です。

「お菓子を食べたいと主食の量を減らす人がいますが、間食をすると血糖値が上昇している時間が長くなり、糖尿病のリスクが上がります。お菓子を食べたいなら、主食を抜かず、食後のデザートで」。運動は家事やウォーキング、ラジオ体操などを続けるとよいそうです。

妊娠糖尿病の経験者はそうでない人に比べ2型糖尿病の発症率が高くなります。「妊娠糖尿病の経験があるなら健康診断などで血液検査を定期的に受けていただきたいですね」と植木先生は強調します。



糖尿病の主な治療法


●食事療法
エネルギー摂取量をコントロールし、栄養素の構成を見直す。

●運動療法
有酸素運動とレジスタンス運動(筋力トレーニング)を組み合わせ、基礎体力や年齢、体重、体調などに応じた運動を継続する。

●薬物療法
インスリン自己注射、DPP-4阻害薬・ビグアナイド薬・SGLT2阻害薬といった飲み薬、GLP-1受容体作動薬の自己注射などを単剤であるいは組み合わせて使う。




糖尿病の診断・治療の専門医


●日本糖尿病学会
「専門医の検索」

URL:http://www.jds.or.jp/modules/senmoni/

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イラスト/にれいさちこ 取材・文/小島あゆみ

『家庭画報』2022年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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