365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> 宿根アスター
青みがかった薄紫の花を咲かせる‘リトルカーロウ’。宿根アスターを代表する人気品種です。シオンにも似た一重の花が清楚でかわいらしい!■属科・タイプ:キク科の宿根草
■花期:6月中旬〜11月
■草丈:30〜180cm
宿根アスターは魅力的な秋の景色を生み出します
宿根アスターとは、キク科アスター属の宿根草の総称です。切り花でおなじみのアスターはキク科カリステファス属の一年草で、属が異なる別の草花です。
宿根アスターは世界中に多くの種類があり、日本に自生するシオンやノコンギクも宿根アスターの仲間です。種類によって花期が異なりますが、秋に盛りを迎える種類も多く、小さなノギクのような花を株いっぱいに咲かせます。
以前はそれほどこの花に魅力を感じなかったのですが、宿根草をメインに構成するペレニアルガーデンを見て回るうちに、宿根アスターが秋という季節感によく似合う美しい景色を生み出すことを知り、大ファンになりました。
花の盛りの時期には、株全体がノギクのような小さな花で埋まり、そのボリューム感が秋のガーデンのフォーカルポイント(注視点、焦点)になります。
花色違いの宿根アスターが何株か植わっていると、色のかたまりが点在しているようで、思わず見とれる景色に…。白や淡いピンク、少し青みがかった薄紫など、涼しげで上品な花色も魅力的で、これが秋の透明感のある空気になじみ、ナチュラル感のあるシーンを生み出すのだと思います。
個人邸の庭や外周りの花壇で宿根アスターが咲いていることも多く、散歩道で見かけると、近づいて清楚な花を愛でたり、少し離れて株全体を眺めたり、と楽しませてもらっています。年々大株に育っていく姿を確認する、そんな楽しみ方ができるのも宿根草の大きな魅力だと感じています。
神奈川県の山あいにあるペレニアルガーデンの秋の景色。満開の‘リトルカーロウ’がボリューム感ある姿で目を引きました。草丈は70〜100cm。高くなりすぎると倒伏はやすいので支柱を立てておくとよいそう。栽培の難易度
耐陰性があまりなく、日陰だと花つきが悪くなるので、日当たりがよく、水はけのよい土壌に植えます。植えつけ時に元肥を施し、生育期の5月〜9月に2回程度、緩効性肥料を与えると花つきがよくなります。やや乾燥ぎみに管理するとよいので、水やりは土がからからに乾いたときにたっぷり与える程度でかまいません。耐寒性が強いので、寒冷地でも秋に切り戻したあとに株元を腐葉土でマルチングしておくと越冬できます。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。