365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> 秋バラ〜その2
‘ブルームーン’は、誕生してから半世紀以上たった現在も人気の高いブルーローズ。ブルーローズ特有のダマスク・モダン系とティー系をミックスした香りが楽しめます。ハイブリッドティーで、半剣弁高芯咲きの整った花形がとても優雅。■属科・タイプ:バラ科の落葉低木
■花期:10月〜11月(見頃の時期)
かぐわしいバラの香りで幸せな気分に!
秋バラは花色が濃くなり、花1輪の美しさが際立つ、と昨日紹介しましたが、もう一つ、うれしい特徴があります。それは香りがより深くなること。春〜初夏のバラにも辺りに漂うほどの香りがある品種がありますが、それは花数の多さによるところが大きいと思います。1輪ずつの香りを比較すると、やはり秋バラのほうがぐっと豊かになります。
バラの香りといっても多種多様で、系統分けにもいろいろあります。ここでは大きく7つの系統を紹介します。
■ダマスク・クラシック系
バラの香りを代表する古典的な香りで、甘さと華やかさを併せ持ち、こくがあります。
■ダマスク・モダン系
ダマスク・クラシック系の香りを受け継ぎ、より強く情熱を感じさせます。
■ティー系
ダマスク系とは異なるソフトな香りで、エレガントな印象。紅茶の香りに似ていることからこう呼ばれます。
■フルーティ系
ダマスク系とティー系の香り成分をブレンドした印象。ピーチやアプリコット、アップルなどの果実の香りを連想させます。
■ブルー系
ブルーローズと呼ばれる品種のほとんどがもつ香りで、ダマスク・モダン系とティー系をブレンドしたような独特な香り。
■スパイシー系
ダマスク・クラシック系を基調に、スパイスのクローブのようなやや刺激的な要素も含みます。ほのかに甘さも感じられます。
■ミルラ系
イギリスでガーデンミルラと呼ばれるハーブに似た、セリ科のアニスのような独特な香りです。デビッド・オースチン氏が作出したイングリッシュローズに多く認められます。
秋にも咲くバラの中から香りが魅力のおすすめの品種を10種ピックアップしてみました。いずれも秋に咲いた花を撮影しているので、春〜初夏に咲く花と、花色や花形が異なるものもあります。ガーデンや散歩道で秋バラを見つけたら、鼻を近づけて香りを堪能し、どの系統に当たるか考えてみるのも楽しいと思います。
栽培の難易度
植えつけまでのポイントは
昨日(10月17日)の記事をご参照ください。2年め以降のバラについては、冬の休眠期に剪定を行い、古くなった枝や枯れ枝を取り除きます。つるバラはシュート(新枝)が伸びてきたら、伸ばしたい方向に誘引します。水やりは年間を通して、土が乾いたらたっぷりと与えます。
花数を多くし、立派な花を咲かせるためには追肥が欠かせません。成長期の追肥は基本3回行います。1回目は3月中旬~4月上旬、2回目は開花中の6月、3回目は9月に施します
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。