365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> サルビア・レウカンサ
動きのある長い花穂が魅力のサルビア・レウカンサ。晩秋まで美しい花を楽しめます。■属科・タイプ:シソ科の宿根草
■花期:8月中旬〜11月
■草丈:1〜1.5m
アメジストセージという素敵な名前でも呼ばれます!
この連載でサルビアを何種類もご紹介しましたが、もっとも遅くまで花を楽しめるサルビアがレウカンサです。鮮やかな紫色の花色が天然石のアメジストに似ていることから、アメシストセージとも呼ばれますが、他にメキシカンブッシュセージという呼び名もあるため、サルビア・レウカンサという学名で紹介します。
草丈が高くなりますが、花穂も長いので草姿のバランスがよく、このサルビアだけでも美しいシーンを生み出します。何より魅力的なのが、ベルベットのような花(萼〈がく〉)の質感です。サルビアのなかでもこの質感をもつ種類はあまり見かけないので、その意味でも個性的なサルビアだと思います。
花をアップで見るとベルベットのような質感です。より深みのある紫色に見えるのもこの独特の質感によるものではないかと思います。紫の花のほかに‘ピンクアメジスト’というピンク×白の花がかわいらしい品種もあります。こちらも質感はベルベット調。観光ガーデンだけでなく、個人邸の外周りの花壇でもよく見かけるので、見つけたらぜひ、アップでその質感を確かめてみてください。
白×ピンクの‘ピンクアメジスト’もベルベットのような質感。かわいらしいピンクに心引かれます。初秋からすばらしい姿を楽しませてくれますが、花が少なくなる晩秋、色づき始めた木々を背景に、紫色の花を伸びやかに咲かせる優雅な姿は、美しい秋の景色として印象深く心に残ると思います。
秋の最後を飾るサルビアにふさわしい、気品のある姿をお楽しみください。
栽培の難易度
日当たりがよく、風通しのよい場所に植えます。植えつけ時に元肥を施せば、追肥の必要はありません。やや乾燥ぎみの環境を好むので、水はけのよい土壌が好ましく、植えつけた直後にたっぷり水やりしたら、あとはからからに乾いたら水やりする程度にします。6月に半分くらいの草丈に切り戻すと、夏以降の草丈を低めに抑えられます。冬季に地上部が枯れたようになるので、そのまま越冬させます。温暖地ではとくに防寒対策は必要ありません。耐寒性がそれほど強くないので、寒冷地では鉢に上げて管理するか、腐葉土で株元を覆うなどの対策をしてください。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。