沖縄のキツツキがつつくのはどこだ?
選・文=川上和人(鳥類学者)
沖縄県のやんばる地域には、ヤンバルクイナの他に固有種の鳥がもう1種いる。全長30センチを超える大型のキツツキ、ノグチゲラだ。
その名を聞くと「ノグチ」が一体誰なのか気になる。それは、明治時代にこの鳥を採集した英国人の通訳だった野口源之助ではないかと推測されている。しかしあくまでも推測で確たる証拠はなく、正解は闇の中だ。この鳥の名前の主役なのに、その正体が不明というのは不思議なものだ。
キツツキは木の幹をつついて虫を食べる。ノグチゲラの雄はそれに加え、頻繁に地上をつついてセミの幼虫やクモを食べる。これは他のキツツキには見られない行動だ。
地上に捕食者のいない場所だからこそ進化した、島ならではの習性なのである。
写真/aflo
『家庭画報』2022年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。