365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> スズランノキ
スズランノキはこの時期、こんなに真っ赤に染まります。世界三大紅葉樹に選ばれるのも納得の美しさです。■属科・タイプ:ツツジ科の落葉高木
■紅葉の時期:10月〜11月
世界三大紅葉樹のひとつです
スズランに似た花を咲かせることからスズランノキと呼ばれ、学名はオクシデンドルム・アルボレウムといいます。じつは同じツツジ科のゼノビアもスズランノキとして出回るので混同しがちですが、紅葉が美しいのはオクシデンドルム・アルボレウムのほうです。
世界三大広葉樹のひとつに挙げられるほど、スズランノキの紅葉は見事で、実際に色づいた葉を見ると、なぜここまで赤く染まったのか、と不思議になるほどです。ちなみに世界三大紅葉樹の残り2つは、
以前ご紹介したニシキギと、北米を代表する広葉樹ニッサ科の落葉高木のニッサ・シルバチカです。
スズランノキは新芽の頃からやや赤みを帯びた葉がつき、夏に咲く花はスズランのようなベル型をしています。原産地の北米では20mもの高さになるそうですが、成長が遅く、日本では5〜10mくらいで管理できるので、最近とても人気となっていて、シンボルツリーに利用しているお宅も多くあります。葉がやわらかなカエデの紅葉とは異なり、厚手の葉にしっかりと赤がのるという染まり具合で、とにかくよく目立つので、散歩道でぜひ探してみてください。夏の白花と秋の紅葉、庭木として大きな魅力をもつ木だと思います。
植えてから3年目のスズランノキ。成長がゆっくりなので、まだ低木のような樹高です。自然樹形も美しい!栽培の難易度
耐寒性・耐暑性ともに強く、成長が遅いため樹形が変わりにくく、高木でもコンパクトに育てることができます。ただし、そこそこの高さまで育つことが可能なスペースを確保しておくことが必要です。日当たりと水はけのよい土壌に植えます。西日が強いと葉焼けを起こして秋の紅葉がきれいに出ないので、西日が当たる場所は避けるのがおすすめです。植えつけ時にたっぷり水やりすれば、あとは雨まかせでかまいません。また、植えつけ時に元肥を施しておけば、追肥の必要はありません。2年目以降は、落葉期に緩効性肥料を株元に施します。剪定も落葉期に行います。枯れ枝を取り除き、伸びすぎた枝を切り落とす程度でかまいません。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。