365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
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11月下旬、ガーデンの植物が枯れゆくなかで、たくさんの花を元気に咲かせるウインターコスモス。■属科・タイプ:キク科の宿根草
■花期:10月〜12月
■草丈:20〜100cm
黄色×白の爽やかな花が初冬まで楽しめます
11月中旬以降になると、観光ガーデンではそろそろ冬季休園に入るところもあります。まだオープンしているガーデンを訪ねると、この時期に満開になっている貴重な花があります。ウインターコスモスの別名でも知られるビデンスです。ビデンスはメキシコを中心に世界各地に200種以上が自生していて、じつは花の時期も種類によって異なり、5月くらいから夏にかけて咲くタイプもあります。今回はウインターコスモスの名前どおり、秋から初冬にかけて咲く種類を取りあげます。
ウインターコスモスの代名詞的存在が‘イエローキューピッド’という園芸品種で、黄色の花弁の先に白が入るかわいらしい花をたくさん咲かせます。一重のすっきりした花はコスモスに似ていますが、コスモスとは属が異なります。
コスモスは茎が細く、風になびくような草姿も魅力の一つですが、ウインターコスモスはコスモスに比べると茎が固く、その分草丈が伸びてもしっかりと自立します。支柱を立てる必要もなく、管理の手間がそれほどかからない点も広く普及している理由だと思います。
なにより、木々の紅葉や赤や黄色の実がなる晩秋に、黄色×白のバイカラーの花は周囲の色彩とバランスをとりつつ、その明るさや爽やかさにおいて存在感を発揮します。草丈がそこそこあり、花がたくさん咲く種類は、冬の間はほとんど見当たらないので、見納めと思って散歩道で探してみてください。
栽培の難易度
日当たりがよい、水はけのよい土壌に植えます。植えつけ時に元肥を施せば、追肥の必要はありません。植えつけ時にたっぷり水やりをすれば、あとは雨まかせでかまいません。晩秋から冬にかけて咲くタイプは、日が短くなる9月に半分くらいの草丈に切り戻すと、コンパクトな草丈で花を咲かせることができます。耐寒性はあるものの、冬季は凍らせないように気をつけます。温暖地では花後に刈り込み、腐葉土などでマルチングするなどの防寒対策を行います。寒冷地では掘り上げて室内で管理するのがおすすめです。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。