舞台上では語られない、描かれていないエマを深めるのが自分の役割
宮澤さんが演じるエマはジキル博士の婚約者で、彼を一途に愛し支え続ける女性です。ただ、「どうしてジキルのことをこんなにも愛しているのか、なぜ彼女がその行動をとったのかなど、その背景があまり描かれていなくて」まだエマを理解しきれてはいないそう。そう話す一方で、難しい役だともいいます。
「エマは、境遇としてはすごく恵まれているお嬢様で、作品の中では“なぜあんな男と!? もっとほかにいい人がいたはずだ!”といろいろな人に言われるんですけれど、彼女はジキルじゃなきゃ嫌で。ジキルのちょっと暗い部分とかよくない部分もすべて含めて愛しているんです。相当懐が深いのかもしれないし、頭のいい人かもしれないし、もしかしたら表面的なことしか見えていないのかもしれない……。まだまだ探っていかなければいけないなと思います」
舞台上では語られなくても、エマにはエマの葛藤や彼女なりの変化、そのプロセスがあるはずで、「それを深めていくのが私の役割」と宮澤さん。「でも、そこにまだ自分の中で納得がいっていない状況なんです」とも。これから稽古を重ね、彼女が演じるエマがどんどん深みを増していくことは間違いなさそうです。
自身が出演する作品や役について、いつも深く理解している宮澤さん。インタビュー中も聡明な女性であることをひしひしと感じる。