究極のハイジュエリー 第16回(全20回) 目にするだけでも夢や幸福感を誘い、生きる力を与えてくれる、究極のハイジュエリーをご紹介いたします。
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真珠の新潮流
清楚な艶めきを放つ海の神秘、真珠 ──。あこや真珠を筆頭に、日本が生み出した上質な真珠はメイド・イン・ジャパンの輝きとして世界から賞賛され続けてきました。そんな中、近年では真珠の個性を極めた多彩な名品がお目見えしています。時に大胆に、時に繊細に……。チャーミングに華やぐ日本の真珠の世界をご覧ください。
商品詳細は記事内を参照ください。変わりつつある真珠の世界
解説/山口 遼 (宝石史研究家)
日本の宝石業界には、困った時の真珠頼り、という言葉がある。つまり、ジュエリーがあまり売れない時でも、真珠を中心とする販売会をやると、ソコソコの売り上げが必ず得られるという意味だ。それほどに、真珠は日本人にとって身近な宝石である。あこや真珠の養殖に成功し、一時的とはいえ、世界を席巻したのが日本産のあこやだったのだから、当然ともいえる。日本人にとって、白くて丸いもの、それが真珠であった。
だが、近年、真珠の世界も変わりつつある。白くて丸いものだけから、白蝶真珠、黒蝶真珠、コンク、アワビ、中国淡水、金色のもの、ケシ真珠など、さまざまな真珠が登場し、一躍多くのバラエティがある宝石となった。例えばこのページのジュエリーは「ギメル」の作品だが、いずれもケシと呼ばれるさまざまな形の真珠が見事なジュエリーとなっている。ケシは成因が不明で、ほとんどのものに核がなく、全体が真珠層で独特のテリが素晴らしい。
コンクも以前はサンゴじゃないかなどといわれたが、美しい天然の真珠として定着した。黒も白も金色も、良質のものの素晴らしさはやっと認識されたようだ。単純に白くて丸いだけの真珠の世界から、美の基準とその価値は大きく変わりつつあることを、今、見ていただきたい。
Gimel(ギメル)
ケシパールが紡ぐ唯一無二の美しさ
“ケシパール”と呼ばれる白蝶無核真珠。その唯一無二のまろやかな気品は、自然の神秘から想を得てきたギメルの創造性に、エモーショナルな刺激を与えています。宝石の硬質な輝きを調和させた豊かな造形が、身につける女性を瞬時に幸福な物語の世界へと誘います。
稀少なケシパールの間に最高峰のダイヤモンドが連なる、大胆かつ贅沢なネックレス。下は可憐な横顔を彩るさくらんぼのピアス。
ネックレス(Pt×ケシパール×ダイヤモンド)2750万円 ピアス(Pt×ケシパール×デマントイドガーネット)132万円/ともにギメル木の葉の有機的なフォルムを輝きに昇華させたオリーブのデザイン。下は2本を重ねづけして楽しみたいリング。
ネックレス(Pt×WG×ケシパール×デマントイドガーネット)2970万円 ブローチ(Pt×ケシパール×デマントイドガーネット×ダイヤモンド)451万円 リング〈右〉(Pt×ケシパール×デマントイドガーネット)154万円 〈左〉(Pt×ケシパール×ダイヤモンド)297万円/すべてギメル 表示価格はすべて税込みです。
撮影/栗本 光 スタイリング/阿部美恵 取材・文/樺澤貴子
『家庭画報』2022年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。