365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> カラスウリ
カラスウリの実は卵くらいのサイズがあり、周囲が枯れ色になるこの時期にはとてもよく目立ちます。くるくる巻いたつるの枯れ姿もかわいらしい!(写真/PIXTA)■属科・タイプ:ウリ科のつる性宿根草
■花期:7月〜9月 実の観賞期:10月〜11月
■草丈:2m以上
おなじみの赤い実。その花は驚くほど不思議で美しい!
カラスウリの実は10月上旬から徐々に色づき始め、この時期には赤く熟します。つる性で、そばにある木などに絡みついて生育しますが、耐寒性・耐暑性共に強い宿根草なので、温暖地であれば毎年同じ場所で育っているのをよく見かけます。私の自宅の近所でも3か所ほどカラスウリが育つ場所があり、この時期には真っ赤な実を眺めたくてお散歩コースに加えています。熟したあとに徐々に乾いてきた実をつると一緒に花びんに挿して飾るだけで、晩秋の風情を感じさせるアレンジになるので、眺めていると欲しくてたまらなくなりますが、そこは我慢…。
さて、実がなるということは花が咲くわけですが、カラスウリの花、皆さまご覧になったことがありますか?
カラスウリの花は7月〜9月にかけて咲きますが、その魅惑的な美しい花は一見の価値ありです。白い花弁の先端からまるでレース編みのような繊細な糸が伸びる花姿を初めて目にしたときは、思わず「こんな花、見たことない!」と声をあげるほど驚きました。以来、その花が見たくて毎朝早起きして通うほど夢中になりました。
なぜ、早起きしたかというと、カラスウリの花は日没から少しずつ咲き出し、夜中に満開となって翌朝にはしぼんでしまうのです。さすがに真夜中に花散歩というわけにはいきませんが、日の出の時間くらいならまだ花が開いているので出かけました。ちなみに7月の東京の日の出の時間は4時半くらいから徐々に遅くなって4時50分くらいです。私にとってこれはとても素敵で有意義な「朝活」になりました。
この時期にどこで実がなっていたかを覚えておき、花が咲く時期の早朝に再び訪ねてみてください。まさに「早起きは三文の徳」を実感できる美しい花との出会いが待っていますよ。
こちらがカラスウリの花! 白い花弁の先が割れ、そこから長く白い糸が伸びます。あまりに不思議な花姿に驚くと同時に魅了されてしまいました。これは朝5時くらいの様子。栽培の難易度
明るい日陰を好みます。つる性なので、つるを誘引できるように支柱やトレリスを準備します。庭であれば植えつけ時に元肥を施す必要はなく、その後の追肥もいりません。土壌がからからに乾いたら、たっぷり水やりします。つるが伸びてきたら、伸ばしたい方向に誘引します。冬季には地上部は枯れ、休眠して越冬します。なお、カラスウリは落ちた枝からも発根するくらい繁殖力が旺盛です。育てたくない位置から芽が出たら、植え替えするか、他の植物の生育の妨げになるようなら抜くようにします。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。