視線を上げれば、そこには華麗な早春の花木が……
地面を見つめる宝探しの合間に、ときには視線を上げてみてくださいね。少しだけ上向きにすると、クリスマスローズと早咲きのスイセンが生み出す美しい景色があちらこちらに。
クリスマスローズ・オリエンタリスは冬の休園中からすでに咲き出しているので、春のオープン時には花が満開に! 異なる種類のスイセンとの共演があちらこちらで見られ、そのセンスのよさもこの庭ならではの魅力です。
さらに視線を高く、少し見上げるようにすると、そこには早春の花木が美しい花を咲かせています。2月中であれば、個性的なマンサクの花がまだ見られ、3月に入るとサンシュユが黄色の花をリズミカルに枝に咲かせます。
濃いピンクの花木を見つけたら、それはビバーナム・ボドナンテンス‘ドーン’。一般的なビバーナムは4月〜5月に開花しますが、この‘ドーン’はとても開花が早いのが特徴です。まだ蕾のときからピンクに色づく姿が愛らしく、ほのかに甘い香りもします。
さて、「アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン」は、以前は3月に入ってからのオープンだったので、この早春の宝探しはガーデナーさんたちだけの特権でした。寒い中での庭作業のご褒美のようなものだったそうです。オープンが早まったお陰で、私たちも心ときめく宝探しができるようになったこと、本当に感謝しています。
3月下旬からはチューリップが咲き出しますが、なんとその数4万球。この庭ならではのナチュラルなコーディネートが生み出す素晴らしい景色は、また旬の時季にご紹介しますのでお楽しみに!
冬季休園中から咲き出すクリスマスローズは、オープン時には花いっぱいに。スイセンとのコーディネートが早春のさわやかな空気感によく似合う。ミズキ科の落葉小高木、サンシュユは池のほとりに植えられている。背景が透けて見える中に黄色の花がぽんぽんと、まるで飛んでいるかのように咲く樹姿が楽しく愛らしい。 ビバーナムの中でも特に開花の早いボドナンテンス‘ドーン’は、毎年サクラより先に咲き出す。鮮やかなピンクの花が枝を覆うように咲く姿が魅力的。後方の黄花はマンサク。 Information
アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン
群馬県太田市新田市野井町456-1(ジョイフル本田新田店エリア内)
高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
ガーデニングエディター
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。現在は、種苗会社の会員向け月刊誌のほか、園芸雑誌などの編集に携わる。