大人気の家庭果樹「温州ミカン」。実がよくなる年とそうでない年がある理由とは

温州ミカン

中生温州の代表ともいえる‘大津四号’。11月下旬には大きな実がしっかりとオレンジ色に色づいていました。

■属科・タイプ：ミカン科の常緑中木
■花期：5月下旬〜6月上旬

家庭果樹では昔から大人気の果樹です

温州と書いて、読みはうんしゅう。おいしそうに色づいた温州ミカンがたくさんなっている光景に出会う季節になりました。温暖な気候を好む柑橘類の中でも、温州ミカンは寒さに強く育てやすいため、昔から家庭果樹として人気があります。

温州ミカンにはいくつかの系統があり、今の時期に露地栽培で実がなる景色が見られるのは早生温州、中生温州という系統です。ちなみに、温州ミカンよりずっと大きな夏ミカンも家庭果樹としてよく利用されますが、こちらの収穫時期は3月〜6月です。

さて、同じ散歩コースを何年も歩いていると、ミカンがたわわになっている年と、今年は少し少ないような…と感じる年があります。ミカンには当たり年とそうではない年というのが本当にあるのですね。これは「表年」と「裏年」といわれ、1年おきに繰り返します。これを隔年結果といいますが、植物ホルモンのジベレリンが枝を流れ、果実の近くにある芽に働きかけて花が咲かないようにするのだそうです。

ほかにも光合成によって作られた糖の貯蓄量も関係するそうです。栽培農家では、表年に実をたくさんならせないように蕾や花を摘んだり、人工的にジベレリンを芽にかけて花を咲かせないようにし、表年と裏年の差を少なくしているそうです。私が散歩で見かけるミカンは個人のお宅で栽培されているので、そのような作業はしていないのでしょう。表年と裏年の差がはっきり見てとれるのが、逆におもしろいなあと感じています。

さて、温州ミカンの花が咲くのは5月下旬〜6月上旬。厚手の花弁のかわいらしい白花です。この花を見つけたらぜひ鼻を近づけてみてください。ほんのり甘く、爽やかなとても心地のよい香りがしますよ。実のなる時期に木を見つけておいて、花の時期にもう一度訪ねてみてください。

栽培の難易度

日当たりがよく、強い風が吹きつけない場所に植えつけます。出回るのは1〜2年生の接ぎ木苗なので、植えつけの際に接ぎ木部分が埋まらないように気をつけます。植えつけ時に元肥を施し、9月〜10月に緩効性肥料を追肥します。収穫は実がしっかりオレンジ色に色づくまで待つと甘みが増します。剪定は2月〜3月に行います。枯れ枝を取り除き、前年に伸びた枝、細い枝を落とし、側枝を開くようにして木の内側まで日光が届くようにします。

【難易度】
★　容易・初心者向け
★★　標準・初級〜中級者向け
★★★　少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★　難しい・上級者向け
★★★★★　栽培環境が限られる