天野惠子先生のすこやか女性外来 第5回(04) 日本の女性医療、性差医療の先駆者で、ご自身の更年期体験も山ほどお持ちの、天野惠子先生の連載「すこやか女性外来」。今回は、天野惠子先生が推薦する、全国・女性外来を紹介します。
前回の記事はこちら>> 【天野惠子先生が推薦】全国・女性外来を訪ねて
アットホーム表参道クリニック 副院長 宮尾 益理子先生
●前回の記事
骨は自分でつくるもの。骨粗しょう症を防ぐために、実践したい食事と運動とは?老年医学をベースに漢方、栄養指導、理学療法も駆使
高い専門的クオリティで全人的に支える
宮尾 益理子先生(みやお・まりこ)東京大学大学院加齢医学講座修了。同大学医学部附属病院老年病科、関東中央病院代謝内分泌科、同院健康管理センターを経て2018年より現職。2003年東大病院に女性総合外来を開設し、現在も隔週で診療に携わる(再診のみ)。内科、老年医学、糖尿病、骨粗しょう症、内分泌、性差医学、漢方、抗加齢医学など専門分野多数。将来のリスクを見越し、生活も含め全人的に診る
老年医学をベースに性差医学、糖尿病、内分泌代謝、骨粗しょう症など数々の専門領域を持つ宮尾益理子先生は、いわば“専門外来の集合体”。
症状の改善だけでなくこの先起こりそうな病気のリスクを多方面から予測し、予防策を一緒に考えながら、患者さんの将来に責任を持つ全人的診療を心がけています。
漢方的体質を見る気血水スコア、SMI(簡略更年期指数)など問診票を活用。初診時には身体所見、血液検査、心電図、レントゲンに加えて体組成、必要に応じてホルモン状態の評価、骨密度(DXA法)、脈波などの検査を行い、数種類の問診票を活用。診療では生活全般に広げて話に耳を傾けます。
「更年期世代の女性は介護や仕事、家庭で多くの役割を抱え、完璧にできて当たり前と考えがち。でも若いときと同じペースでは動けません。問題点を整理し、優先順位をつけて解決策を探っていきます」。
漢方薬で症状を緩和し、栄養指導で要介護予防も
症状緩和に欠かせない漢方薬は女性外来受診者の約8割に処方。管理栄養士による栄養指導にも力を入れています。
「骨粗しょう症やサルコペニア(筋肉量の減少と筋力の低下)の予防には、バランスのよい食生活と運動習慣を獲得して体重も脂肪も適正に保つことが大切です」。
管理栄養士による食事指導、栄養補助食品の案内など栄養指導も充実。理学療法も更年期症状の緩和に効果的だ。肩こりや腰痛、肩や膝の痛みなどの骨・関節疾患も院内の整形外科で専門的診療や理学療法を受けられるのが大きなメリットです。遅延型アレルギーや腸内細菌の検査、サプリメントなど科学的根拠に基づく手段を積極的に導入する宮尾先生。
「女性たちにずっと笑顔でいてほしい。そのために外来診療でできることは何でも取り入れたいと考えています」
高濃度ビタミンCなどの点滴(自費診療)やプラセンタ注射(一部保険診療)などを行う点滴コーナー。アスタキサンチンやビタミンCのサプリメント、美容液も紹介。 Information
アットホーム表参道クリニック
東京都港区北青山2-12-31 第3イノセビル2階・地下1階
- 内科・整形外科・リハビリテーション科・デイケアセンター
撮影/本誌・武蔵俊介 取材・文/浅原須美
『家庭画報』2022年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。