365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> ハツユキカズラ
濃いピンク、淡いピンク、ごく淡いクリーム色、そして緑。優しいパステルカラーが華やかなハツユキカズラは、花と見間違えるほど美しい色彩をもたらしてくれます。■属科・タイプ:キョウチクトウ科の常緑低木(つる性)
■観賞期:通年 花期:5月〜6月
花のようにも見えるパステルカラーの葉が美しい
遠目にピンク系のパステルカラーが見え、近づいてみると小さな斑入りの葉がいっぱい。「ああ、ハツユキカズラね」ということがよくあります。寄せ植えやハンギングバスケットなどにもよく利用されるので、宿根草と思われがちですが、ハツユキカズラはテイカカズラの園芸品種。つる性の常緑低木なんです。
葉に入る斑は、新芽のときは濃いピンクで、しだいにパステルピンクになり、さらに白へと変わり、最終的に緑葉となります。春から秋の生育期間に次々と新芽が出るので、株全体を見ると、濃淡ピンクからごく淡いクリーム色、緑がミックスした状態のパステルカラーに。うっかり花色と言い間違えることもあるくらい、優しく華やかな葉色は本当に魅力的だと思います。
そして、ハツユキカズラの魅力は冬季も葉が残る常緑であること。そのため、建物の外周りの植栽で幅広く利用されます。剪定でこんもりとした樹形にしたり、壁の地際につるを這わせるようにしたり、散歩道でもさまざまな仕立てのハツユキカズラを見かけます。
商業施設やマンションの外周りなどでは、管理の手間を少なくするために常緑の低木、中高木を組み合わせたデザインにすることが多いのですが、花が少ない時期でも色彩をもたらしてくれるハツユキカズラはそこでも大活躍です。
それほど目立ちはしませんが、5月〜6月にはテイカカズラに似た小さな白花を咲かせます。さらに、日当たりが十分など環境が適していると、晩秋〜冬にかけて赤く紅葉する姿も楽しめます。
ちょうどこの時期は紅葉しているハツユキカズラも見つかるかも。十分に日に当たる環境で育つと美しく紅葉します。(写真提供/PIXTA)栽培の難易度
日当たりを好みますが耐陰性も多少あるので、明るい日陰でも育ちます。日光が足りない場合、また夏に強い直射を受ける場所では、斑がきれいに出ないこともあります。植えつけ時に元肥を施せば、その後の追肥は必要なく、水やりも雨まかせでかまいません。翌年以降は、春〜秋の成長期に1回、緩効性肥料を施します。ピンクや白の斑は新葉に出るので、剪定を繰り返して新芽が出るのを促すと、きれいな斑入り葉が長く楽しめます。もし緑葉だけの枝が出てきたら、先祖返りなので根元からカットしてください。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。