眼疾患を早期に発見し、クリアな視界を保つ「眼科ドック」
今、市区町村の健康診断の検査項目に、必ずしも眼科の検診は含まれていません。うっかりすると、失明につながる目の病気の進行を放置してしまうことに――。老眼が始まったら目の老化のサインととらえ、定期的に眼科検診を受けましょう。
〔解説してくださるかた〕井上眼科病院院長 井上眼科病院グループ理事長 井上賢治先生
●前回の記事
なぜ必要?「眼科ドック」受け方選び方
眼科医療と検査の専門家のいる、診療体制も充実した施設が安心
お茶の水・井上眼科クリニックのデータでは、2次検査が必要となる症例は40代から増加します。ドック後に精密検査や治療が必要になる場合を考えると、ドックを受けた機関で継続して専門的な医療を受けられるのがベスト。検査のスペシャリスト(視能訓練士)が担当し、経験豊富な眼科専門医が診断するドックは、検査精度も高く、その後のフォローアップ体制も安心です。
「完全予約制で決まった時間内に終わる眼科ドックは、40代50代の多忙な世代も受けやすいのではないでしょうか。少し気になる程度の軽い症状であれば、待ち時間の長い外来ではなく眼科ドックで目全体を調べるのも一つの方法です。人生100年の折り返し時点に眼科ドックを受けることは、健康への有意義な投資だといえます」(井上先生)
目の老化は加齢とともに確実に進みます。年1回は受診して経過観察を怠らないことが大事です。何らかの所見が見つかった場合は放置せず、必ず外来を受診しましょう。
「眼科専門病院での眼科ドック受診者における眼科疾患の発見」井上賢治他「人間ドック」32:659‐665,2017 より作図2015年10月から16年9月までお茶の水・井上眼科クリニック「眼科ドック」を受診した417例(男性194例、女性223例)を対象とした統計。受診者は40代~60代が多く、2次検査をすすめる症例は40代から増え始めることがわかる。
上手な受け方・選び方
●40代になったら年に1回検査を受けて目全体をチェックする
●治療が必要になった場合の診療体制が整っている施設を選ぶ
●多少気になる程度の症状であれば、待ち時間がなく、多方面から検査のできるドックを受けるのも一つの方法
取材・文 浅原須美 撮影 田中 雅、柳原久子、本誌・大見謝星斗、伏見早織 イラスト 岡部哲郎
『家庭画報』2022年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。