365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> ウインターパンジー&ビオラ
ウインターパンジーの代表的な品種‘ナチュレ’シリーズは、耐寒性がとても強く、生育旺盛で冬の間から花が次々に咲きます。これは青紫の濃淡が美しい‘ナチュレ ビーコンインプ’。冬の花壇にはブルー系の花がとくに少ないので、この花色は貴重な存在。■属科・タイプ:スミレ科の一年草
■花期:10月下旬〜翌年5月
■草丈:10〜20cm
春の花?いえ、晩秋から咲き出していますよ!
春を代表する一年草といえば、パンジー&ビオラ。3月に入り、気温が上がり始めると花がどんどん咲き、ふんわりと群れ咲く様子がとてもかわいらしく、私も大好きな花です。そのパンジー&ビオラ、花の咲き出しがどんどん早くなっていることをご存じでしょうか。
もともと耐寒性の強い花ですが、冬の寒さの中でも花が咲くように品種改良され、品種によっては10月下旬から咲き出すものもあります。ということは、パンジー&ビオラの開花期間は約7か月!半年以上も花が続くなんて、何というコストパフォーマンスでしょう!
4月から咲き出し、晩秋まで花が続くペチュニアも開花期間の長さが魅力の一年草ですが、株姿が乱れやすいので、途中で何度か切り戻す必要があります。その点、パンジー&ビオラは終わった花がらを摘み取るだけと管理がとても簡単。個人のお宅だけでなく、公園など公共の花壇でもよく使われるのも納得です。
ところで、咲き始めが早くなったことで、パンジー&ビオラの苗の発売も以前より早くなっていることにお気づきですか?10月上旬には園芸店に並んでいて、12月上旬には品種が豊富に出揃っているので、育てたい方は早めの入手をおすすめします。私はこの時期を逃してしまうことが多く、いつも年末に慌てて買いに行くのですが、欲しい品種はすでになく、毎年のようにもっと早く来なくちゃと反省してします。
今回は冬の間から花が咲く特性のある品種を、ウインターパンジー&ビオラとして紹介します。まだ株も小さく、春のように群れ咲くわけではありませんが、彩りの少ない冬に華やかさをもたらしてくれる貴重な花だと思います。
ビオラ‘フローラルパワー’シリーズも開花が早く、春までのシーズンを通してたくさんの花が楽しめます。これは爽やかなバイカラーの‘フローラルパワー クリームイエローリップス’。11月下旬の植えつけ直後の様子です。栽培の難易度
苗を入手したらすぐに植えつけて寒さに当てると、丈夫な株に育ち花がたくさん咲きます。日当たり・風通しのよい場所に植えつけます。元肥として緩効性肥料を施し、その後は月に1回、追肥をします。地植えの場合は土壌がからからに乾いたらたっぷりと、鉢植えで雨に当たらない場所に置いている場合は、3日に1回ほど水やりをします。花弁の縁がくるっと巻いてきたら、花茎の根元から摘み取ります。しおれるまで待たず、早めに摘み取ることで、次の花の開花を促します。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。