365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> スイートアリッサム
ビオラの近くに植えられたスイートアリッサム。この時期の花壇は土面が多いのですが、白花があると少し明るい印象に。これから寒さ当たって丈夫な株に育ち、春にはたっぷりと花咲く姿を見せてくれます。■属科・タイプ:アブラナ科の一年草(宿根草タイプもあり)
■花期:9月下旬〜翌年5月
■草丈:10〜15cm
春花壇の名脇役はこの時期にも花が咲いています
ハボタンの花壇や、ウインターパンジー&ビオラとともによく花壇に植えられているのがスイートアリッサムです。5mm程度の花が密に咲く姿がとてもかわいらしく、草丈が低くこんもりした株姿になるので、花壇の縁取りにもよく利用されます。株が大きくなり花でいっぱいになるのは春ですが、土の地面が見えがちな冬の花壇に彩りをもたらしてくれるので、この時期の株姿にもぜひご注目ください。
さて、スイートアリッサムは、アリッサムとは違う植物なのか、疑問に感じている方も多いと思います。アリッサムはアブラナ科アレチナズナ属で、黄色の花を咲かせるアリッサム・モンタナがよく知られています。それに対し、スイートアリッサムはアブラナ科ニワナズナ属で、学名をロブラリア・マリティマといいます。白をはじめピンク、紫、クリーム色などの花色があり、ほのかに甘い香りがあることから名前に「スイート」とつけられています。
園芸店などではアリッサムの表記でスイートアリッサムが販売されている場合もありますが、正しくは別の花だと覚えておいてください。
ちょうどこの時期には、植えたばかりの苗を見かけることが多いと思います。まだ小さな株ながら花を咲かせている姿を見ると「寒さに負けずに春までがんばれ!」と応援したくなります。
なお、スイートアリッサムは本来は多年草ですが、日本の高温多湿では夏越しが難しいため、一年草扱いされています。ところが最近、暑さにも寒さにも強い宿根草タイプも登場し、グランドカバーとして一年中利用できるためとても人気となっています。
ウッドボックスに、ビオラと共にスイートアリッサムを寄せ植え。小花のスイートアリッサムはどんな花とも合わせやすく、冬から春の花壇の名脇役です。栽培の難易度
日なたで寒風の当たらない場所に植えます。植えつけ時に元肥を施し、厳寒期を過ぎて再び開花が始まったら緩効性肥料を株元に施します。地植えの場合は水やりは雨まかせでよいのですが、冬の乾燥で土壌がからからになっているときには、たっぷり水やりします。花序の先端の花が終わったら、わき芽の出ている部分から切り戻します。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。