365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> 冬咲きオキザリス
開いた花の白と、蕾んだ状態でよく見える裏側の赤。混じり合うと白×赤のインパクトある様子になります。写真/PIXTA■属科・タイプ:カタバミ科の宿根草
■花期:12月〜3月
■草丈:10〜20cm
見つけるとうきうきした気持ちになる個性的な花です
花の種類が少なくなる冬季の散歩で、個性的な花を見つけると嬉しくてうきうきした気持ちになります。冬咲きのオキザリスもその一つ。オキザリスの和名はハナカタバミで、さまざまな種類があり、春〜夏咲き、秋〜冬咲き、そして四季咲きタイプと、花期も異なります。
冬咲きのオキザリスといえば、一度見たら忘れられなくなるほどインパクトの強い花を咲かせるバーシカラーです。白い花弁の裏側に赤い覆輪が入る花はとてもかわいらしく、とくに蕾んでいるときはまるで赤と白の傘のように見えます。この様子を見るたびに、私は子どもの頃に食べたパラソルチョコレートを思い出します。今でも市販されていますが、昔のラッピングのほうがより似ている気がします。
オキザリス・バーシカラーのように個性的な花は、鉢植えで大切に育てられているのだろうと思っていたところ、なぜか近くの駐車場の隅で咲いていて、毎年この時期になると花が咲いたかなと見に行っています。
もう一つ、冬の間にご近所で見かけるのがオキザリス・ペスカプラエで、和名はオオキバナカタバミといいます。12月の中旬、草も枯れた土手に少し緑がかった黄色の、蛍光色のようによく目立つ花が咲いていて、近づいて確認するとこのオオキバナカタバミ。
オキザリス・ペスカプラエは春咲きといわれますが、冬の間から咲き出しているのをよく見かけます。少し緑色を含んだような黄色の花色は日差しが当たると輝いているように見え、遠目にもよく目立ちます。クローバーに似た大きな葉もかわいらしいのでご注目ください。写真/PIXTA満開に咲くのは春ですが、暖かい環境では冬の間から花が咲きだします。輝くような花色を見ると心がパーッと明るくなりますよ。
栽培の難易度
南アフリカ原産の原種で、9月〜10月に球根を植えて育てます。日なたで水はけのよい土壌に植えつけ、やや乾燥ぎみに管理します。植えつけ時に元肥を施せば追肥の必要はなく、水やりも雨まかせでかまいません。耐寒性はそれほど強くないので、霜が降りる地域では鉢植えにするのがおすすめです。翌年以降、分球して株が込んできたら、秋に株分けをします。病害虫の発生も少なく、育てやすい植物です。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。