だしの中をさっと泳がせ、軽く色が変わったところを自家製のポン酢で食べる「メカしゃぶ」。脂がたっぷりのった冬メカは刺し身で食べられるほど新鮮。口にとろける甘く濃厚なうまみ、清らかな後口に驚かされる。写真は4~5人前。事前予約にて価格は時価。地元の銘酒とともに。世界三大漁場の一つ、三陸沖がもたらす豊かな海の幸に恵まれた港町、宮城県気仙沼の冬の味覚といえば、濃厚なうまみで知られるメカジキです。
ことに10月から3月に水揚げされる“冬メカ”は、良質な脂を蓄えた、地元でもとびっきりのご馳走。刺し身や煮付けはもとより、しゃぶしゃぶ、すき焼き、ステーキなど、さまざまな料理で愛されています。
「海と共に生きてきた地元では、昔から家庭料理にメカジキを取り入れてきました。脂がのった冬メカの醍醐味をダイレクトに味わうなら、しゃぶしゃぶが最高。これを目当てに遠方からもお客さまがいらっしゃいます」と話すのは、「気仙沼 新富寿し」のご主人・鈴木真和さん。
被災した鮨店を2014年に再建した、鈴木真和さん豊富な地物が味わえると地元でも評判の「気仙沼 新富寿し」の絶品料理。手前は、地元ならではの新鮮なメカジキの生と炙りのにぎり2種、本鮪とろのにぎり(価格は時価)。奥は、豪華な「ふかひれ丼 海鮮あんかけ」1万2500円。ほかにも名産のフカヒレをはじめ、鰹、秋刀魚、牡蠣、鮑など、魅力的な食が目白押し。この時季にしか見ることができない幻想的な「気嵐(けあらし)」など、足を延ばして満喫したい見どころがいっぱいです。
世界三大漁場の一つ、三陸沖がもたらす豊かな海の幸に恵まれた港町、宮城県気仙沼。冬の早朝、内湾に数時間だけ現れる「気嵐(けあらし)」。水温と外気温差から生じる霧の中を漁船が行き交う、黄金色の幻想的な光景が楽しめる。写真/かとうまさゆき気仙沼はメカジキ水揚げ日本一!
長く突き出した吻(ふん)が特徴のメカジキは、スズキ目・メカジキ科に分類されるカジキの仲間で、メカジキ科唯一の現生種。大きいものは全長5メートル、体重400キロを超えることも。年間を通して水揚げされるため、地元では肉のような使われ方もする身近なご馳走。なかでもたっぷり脂がのった“冬メカ”は美味なことで知られる。
Information
気仙沼 新富寿し
宮城県気仙沼市 東新城1-13-3
- 「食材王国みやぎ」の旅。宿情報は「ゆこゆこ」で 気仙沼で冬魚三昧を楽しんだら、宮城県内の名湯へ。お宿の情報やお申し込みはこちら>> 「メカしゃぶ」をわが家にお取り寄せ 毎朝、市場で鮮度を見極めて買い付けた旬魚の加工で定評のある「阿部長商店」の「気仙沼メカしゃぶセット」。ご家庭で気軽に気仙沼・自慢の味をお楽しみいただけます。詳しくはこちら>>
表示価格はすべて税込みです。
撮影/大泉省吾 取材・文/瀬川 慧
『家庭画報』2022年12月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。