猪熊弦一郎は、油彩のみならず、三越百貨店の包装紙デザイン、上野駅中央コンコースや慶應義塾大学の壁画などで広く作品が知られる画家。
生誕120年にあたる2022年、横須賀美術館にて企画展が開催される。学芸員の日野原清水さんに話を伺った。
「2022年は、当館にとっても開館15周年にあたります。この節目の年に、所蔵作家の中から同じく生誕120年を迎えた猪熊弦一郎を取り上げたいと思いました」
猪熊弦一郎《三人の娘》1954年 横須賀美術館蔵 ©The MIMOCA Foundation当館が所蔵するのは、上の《三人の娘》。ここに描かれたエピソードとともになされる展示は、本展の見どころのひとつだ。
「この作品に描かれているチェアはチャールズ&レイ・イームズがデザインしたもので、イームズからアーティストのイサム・ノグチをとおして、猪熊と、同時代のデザイナー、剣持 勇に贈られました。本展では、《三人の娘》とともに、猪熊、剣持旧蔵の実物のチェアを並べて展示する予定です。絵画作品以外では、ほかに三越百貨店の包装紙「華ひらく」の原画と、題材となった石も展示予定ですので、ぜひご覧いただきたいですね」
猪熊弦一郎《顔80》1989年 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館蔵 ©The MIMOCA Foundation猪熊弦一郎《驚く可き風景(B)》1969年 東京国立近代美術館蔵 ©The MIMOCA Foundation横須賀美術館は、東京湾に面し、自然に囲まれた環境にある。
「展覧会をご覧になった後は、併設のレストラン“アクアマーレ”でのお食事や、近くの観音崎公園、観音埼灯台の散策を楽しんでいただけます。暑さがやわらいだ季節にぴったりのお出かけ先だと思います」
表示価格はすべて税込みです。
構成・文/安藤菜穂子
『家庭画報』2022年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。