ダイアナ元皇太子妃没後25年の今、彼女の“現実”を映した2作品が公開される。一つはダイアナが王妃の座を捨てても自らのアイデンティティを確立しようとする姿を描いた『スペンサー ダイアナの決意』。
『スペンサー ダイアナの決意』
© 2021 KOMPLIZEN SPENCER GmbH &SPENCER PRODUCTIONS LIMITED 配給:STAR CHANNEL MOVIES Photo credit:Pablo Larrainスペンサーはダイアナの旧姓で、幸せな幼少期を過ごしたサンドリンガムにあるエリザベス女王の私邸を舞台に、1991年のクリスマスに起きた事実から生まれた物語だ。
窮屈な王室のしきたりやパパラッチの目を避けるための監視などに追い詰められ、心身が崩壊していく中で、ダイアナが自分らしく過ごせるのは2人の王子との時間だけ。そして彼女は一縷の望みにかけた決断をする。
お洒落だったダイアナを彷彿させる美しい衣裳はジャクリーン・デュラン、ヘアメイクは吉原若菜が手がけた。クリスマスのディナー用という設定のシャネルのイブニングドレスの見応えも抜群。
主演のクリステン・スチュワートは生前のダイアナのまなざしや立ち居振る舞い、話し方のアクセントなどを精緻に体現し、ダイアナが甦った。
『プリンセス・ダイアナ』
©Kent Gavinそして『プリンセス・ダイアナ』は世界初の劇場版ドキュメンタリー映画。ありのままを捉えた映像を通して彼女が直面した現実のすべてを体験できる。時代の目撃者として見届けたい。
『スペンサー ダイアナの決意』
2021年 イギリス・ドイツ合作 117分
監督/パブロ・ラライン
脚本/スティーヴン・ナイト
出演/クリステン・スチュワート、ジャック・ファーシング、ティモシー・スポール、サリー・ホーキンス、ショーン・ハリスほか。
URL/
https://spencer-movie.com/TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開中 構成・文/山下シオン
『家庭画報』2022年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。