骨・筋肉・関節の状態を調べ、力強い足腰をキープ「運動器ドック」
長時間歩くのがつらい、膝や腰が痛むなど、足腰の衰えを感じ始める40、50代。加齢に伴う筋肉量や骨量の低下は、運動や食事内容の改善によって緩めることができます。将来も元気に動ける体のために、今の運動器の状態を調べ、対策にとりかかりましょう。
〔解説してくださるかた〕慶應義塾大学 スポーツ医学研究センター教授 石田浩之先生
●前回の記事
ロコモの兆候に気づくために「運動器ドック」【受け方、選び方】
病院系ドックは検査内容が詳細、専門医による指導も充実
自治体などが行うロコモ検診ではロコモ度テストの結果に応じて、理学療法士や管理栄養士が運動や食事のアドバイスを行うところもあります。生活改善に取り組む動機づけとして気軽に利用することができます。
また、医療機関のドックや検診は、専門分野の医師が検査や結果説明、その後の指導にかかわるところが多いのが特徴です。高性能の機器を用いた精度の高い測定や詳しい血液検査のデータを得やすい環境にあり、一人一人の体の状態や目標に合わせた丁寧な指導内容に結びつけることができます。
慶應義塾大学病院予防医療センターの「運動器ドック」は一般的な人間ドックのオプションとして行われ、体脂肪率や筋肉量など全身の運動器の状態を詳しく測定するほか、血液検査で骨代謝マーカーの値を調べて骨密度減少の理由を探るなどして、その結果を運動や食事内容のアドバイスに生かしています。
「運動習慣のない人は緩めの運動から始めて、体力・筋力がついてきたら段階的に強度を上げていくのが基本です。目指す身体活動のレベルは人それぞれ。往復30分歩いて買い物に行きたい、山歩きをしたいなどの目標を担当医に伝えて、身の丈に合った運動方法を教わり、長く続けることが運動器の機能を維持する秘訣ではないでしょうか」(石田先生)
上手な受け方・選び方
●検査結果に応じて個別に生活習慣や運動の指導をしてくれるところが望ましい
●定期的に検査を受け、骨量や筋肉量の変化をチェックする
取材・文 浅原須美 撮影 田中 雅、柳原久子、本誌・大見謝星斗、伏見早織 イラスト 岡部哲郎
『家庭画報』2022年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。