365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> フランネルフラワー
細かな毛が密生している花弁は、他の花とは異なるマットな質感。花弁の先が緑色になるのがかわいらしくてしゃれています。■属科・タイプ:セリ科の宿根草
■花期:9月〜12月、4月〜6月
■草丈:30〜100cm
ネル生地のような手ざわりの花はとてもおしゃれ!
寒い季節に大活躍するファッションアイテムの一つがネルシャツです。ネルとはフランネルの略で、経糸(たていと)・緯糸(よこいと)を交互に織った平織りや綾織りの毛織物のことです。その滑らかな手ざわりによく似ていることから名づけられたのがフランネルフラワーです。
オーストラリア原産で、輸入の切り花が出回るようになったとき、実際に花弁を触って「ほんとにネルシャツみたい!」とびっくりしました。感触だけでなく、すっきりした花形、少しクリーム色を帯びたあたたかみのある白の花色も魅力的で、とくに花弁の先端に少し緑色がのるのがナチュラルな雰囲気で素敵だと感じました。
そう感じた方がとても多くいたのでしょう、切り花のフランネルフラワーは大人気となりました。結婚式に招かれたときのこと、花嫁さんがフランネルフラワーのブーケを手にしているのを見て「なんておしゃれ! ナチュラルなのにファッショナブル!」と感激したのをよく覚えています。
切り花の人気ぶりからか、フランネルフラワーは日本で品種改良され、苗でも出回るようになりました。フランネルフラワーが属するアクチノータス属には15種ほどがありますが、日本で流通しているのはヘリアンティ種のみ。耐暑性・耐寒性共にそれほど強くないため、温暖地で地植えで越冬させるのは難しいのかなと思っていましたが、散歩道では上手に管理しているお宅があり、越冬して翌年も花を咲かせています。フランネルフラワーを選ぶなんて、センスがいいなぁと感心しながら楽しませてもらっています。
栽培の難易度
日当たりのよい、水はけのよい土壌に植えます。植えつけ時に元肥を施せば、追肥の必要はありません。根が繊細で傷つきやすいので、根鉢を崩さないようにポットからそっと引き出すように気をつけます。地植えの場合、水やりは雨まかせでかまいませんが、乾燥が激しいときには株元にたっぷり水やりをします。花がらや枯れた葉は取り除き、株の中を風通しよくします。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。