365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> セネシオ‘エンジェルウィングス’
北イングランドのガーデンで見たセネシオ‘エンジェルウィングス’。際立つ白さの大きな葉に驚きました。■属科・タイプ:キク科の宿根草
■鑑賞期:通年
■草丈:10〜60cm
クリスマスに出会いたい「天使の羽」という名のリーフプランツ
和名のシロタエギクや英名のダスティーミラーなどで知られるセネシオの仲間には、ふわふわした手触りのシルバーリーフが多くあり、花壇や寄せ植えの名脇役として活躍します。なかでも、葉のサイズ、株のサイズが群を抜いて大きいのが‘エンジェルウィングス’です。
初めて見たのは5年ほど前に訪ねた北イングランドのガーデンでしたが、これほど大きなシルバーリーフを見たことがなかったのでとても驚きました。いちばん大きな葉は、幅10cm近く、長さは15cmくらいありました。しかも、ただ大きいだけでなく、葉の際立つ白さにもハッとさせられ、これはもうシルバーではなく、ホワイトリーフ!と思いました。
帰国してまもなく訪ねた花苗生産者さんのほ場で、なんとその‘エンジェルウィングス’がずらりと並んでいるではありませんか! 「これほど美しいリーフプランツは絶対に人気になると思って…」と生産者さん。その予測は大当たり! 現在では観光ガーデンだけでなく、個人邸の庭や外周りの植栽にも利用されるようになっています。
常緑性で、一年中美しい葉色が楽しめること。さらに耐寒性が強く、温暖地ならとくに防寒の対策をしなくても越冬できるなど、育てやすさも人気の理由でしょう。遠目からでもよく目立つ白さなので、散歩道でも見つけやすく、いつも近づくとそっと手を触れてふわふわした滑らかな感触も楽しませてもらっています。個人的にはこの白いリーフはとくに冬季には雪を連想させられて素敵に感じ、同時に優しく温もりのある質感も冬のほうがより魅力的な気がしています。
‘エンジェルウィングス’をアクセントに加えたリースを観光ガーデンで見かけました。ハボタン、カルーナ、パンジーなど、冬から春まで楽しめる花で制作されていました。栽培の難易度
日当たりを好みますが、夏の強い直射を受けると葉焼けするので、明るい日陰でもかまいません。多湿は苦手なので、水はけのよい土壌に植えつけ、やや乾燥ぎみに管理するのがポイント。植えつけ時に元肥を施せば、追肥の必要はありません。水やりは土壌が乾いたらたっぷり、を基本にします。草丈が伸びすぎて草姿が乱れたら、好みの高さで切り戻します。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。