365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> クリスマスローズ
真っ白い花が清楚、かつ優雅なクリスマスローズ。ニゲル種の基本はやはりこの白花ですね。■属科・タイプ:キンポウゲ科の宿根草
■花期:12月下旬〜翌年2月
■草丈:20〜40cm
「冬の貴婦人」と称される白い花は世界中で人気です
花の少ないクリスマス頃に、バラのようなふんわりと大きな花を咲かせてくれることからクリスマスローズ。そう名づけたイギリスの人たちの気持ち、よくわかります。冬の庭でこれほど大きく美しい花を咲かす宿根草はなかなかありませんから…。
クリスマスローズの名で広まっていますが、学名はヘレボルス・ニゲル。早春から咲き出すものは、ヘレボルス・オリエンタリスと種類が異なります。
ヘレボルス・ニゲルの基本種は雪のような白花で、その清楚な美しさは欧米では昔から「冬の貴婦人」と称されてきました。最近ではニゲル種と他の種類の交配から、濃淡ピンク系の品種も生み出されています。ニゲル種との交配品種はいずれも咲き出しが早いのが特徴で、寒いうちからきれいな花を楽しませてくれます。
ニゲル種のもう一つの特徴は有茎種であること。立ち上がった茎に葉をつけ、その頂部に花を咲かせます。オリエンタリス種は基本的には無茎種で、茎がなく、根元から葉柄と花茎が別々に伸びます。両方を見比べて見ると、株姿の印象が微妙に異なるのはそのためです。個人的には有茎種のほうが力強く、無茎種は優しい印象に感じられます。
ニゲル種もオリエンタリス種も、雄しべと蜜腺が落ちたあとも花のように見えるがくが残るので、1輪を2か月くらい楽しむことができます。庭に咲いたクリスマスローズを切り花で楽しんでいる友人もいて、かなり羨ましく感じています。
ニゲル種の‘カイザー’という白花品種。冬の庭にこの白花が咲いていると、思わず立ち止まってうっとりと眺めてしまいます。それくらい美しく、どこかゴージャスな雰囲気もあります。栽培の難易度
高温多湿が苦手なので、明るい日陰の水はけがよい土壌に植えます。植えつけ時に元肥を施し、毎年10月くらいに緩効性肥料を追肥します。クリスマスローズは6月〜9月までは半休眠状態となり、肥料の吸収が少なくなるので、涼しい気候になってから追肥するのが効果的。地植えの場合は、水やりは雨まかせでかまいません。花が終わったら花茎の根元から切り取ります。また、黄色くなった葉や枯れた葉も取り除きます。クリスマスローズはウイルス病にかかると一気に近くにある別の株にまで感染するので、もし、葉に斑点が出るなど異常が出た場合には、株ごと抜いて処分しまうのがおすすめです。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。