365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
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かわいらしい赤い実をつけるクリスマスホーリーとはセイヨウヒイラギのこと。葉の緑と実の赤でクリスマスカラーになっています。葉の縁のギザギザは年数が経つにつれ丸みを帯びてきます。(写真提供/PIXTA)■属科・タイプ:モチノキ科の常緑高木
■実の観賞期:11月〜翌年1月
キリスト教では重い意味をもつ大切な木です
クリスマスホーリー。素敵な名前の木ですが、皆さまもよくご存じだと思います。クリスマスシーズンにはリースによく使われ、ギフトのラッピングペーパーにもこの葉と実がプリントされていたりします。セイヨウヒイラギのことなのですが、クリスマスにちなみ、タイトルは英名のクリスマスホーリーにしました。
セイヨウヒイラギは、欧米では生け垣などによく利用されている木です。4月〜5月に花が咲き、その後になった実は11月頃から赤く色づきます。ちょうどクリスマスの頃には真っ赤な実が楽しめることからこの名前がつきました。キリスト教では、イエス・キリストの受難(十字架刑)の苦悩を象徴する木とされています。ちなみにholy nightのホーリーは聖なるという意味ですが、クリスマスホーリーはhollyとスペルが異なり、セイヨウヒイラギの仲間全体をさす名称です。
さて、日本にもヒイラギという木があり、縁がギザギザした葉はセイヨウヒイラギとよく似ています。しかし、日本のヒイラギはモクセイ科で、セイヨウヒイラギとは異なる木です。ややっこしいですね。
しかも、日本のヒイラギも昔から魔除けとして利用され、風水では鬼門除けのために北東に植えるとよいとされたり、また、節分に柊鰯(ひいらぎいわし)といって、ヒイラギの小枝に焼いた鰯の頭を刺し、魔除けとして飾る風習もあります。日本のヒイラギのほうが葉が厚手で、ギザギザも尖っていてよりパワフルな魔除けという印象があります。
ヒイラギは11月〜12月に香りのよい白い花を咲かせ、これが実になるのは翌年の5月〜7月。しかも実は楕円形で黒紫色です。ということは、冬の間なら赤い実をつけているのはセイヨウヒイラギと確実に判別できます。
モミの葉をベースにしたリースにセイヨウヒイラギの葉をあしらうと、一気にクリスマスの雰囲気に。栽培の難易度
耐陰性もありますが、日なたで育てたほうが実つきがよくなります。水はけがよく、肥沃な土壌に植えつけます。乾燥が苦手なので、やや湿り気のある土壌が適しています。植えつけ時に元肥を施せば、追肥の必要はなく、水やりも雨まかせでかまいません。高木ですが、成長はゆっくりなので、数年は剪定なしで管理します。花芽の形成は10月〜3月、花期は4月〜5月で、その後に実も楽しめるため、花芽や花を多く残しておくためには強い剪定は行わず、枯れた枝などを取り除く程度にとどめておきます。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。