365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> シネラリア
シネラリアには草丈が低いタイプと草丈の高い木立ち性タイプがあります。写真は‘桂華(けいか) サーモンピンク’という品種で、木立ち性のシリーズ。木立ち性は性質が丈夫で多花性でもあり、開花輪数が100〜200輪になるそう。濃淡ピンクのグラデーションがとても華やかで優しい印象です。(写真提供/PIXTA)■属科・タイプ:キク科の一年草
■花期:11月〜翌年4月
■草丈:20〜60cm
遠目にもよく目立つ鮮やかな色彩が魅力です
散歩の途中、門前や玄関前の鮮やかな花色が目に留まったら、それはシネラリアの可能性高し! 濃淡ピンク、赤、白、紫、オレンジ色と花色が豊富で、いずれもとても発色がよいうえ、この時期の花色には少ないブルー系まで揃っています。しかも、マーガレットに形の似た花がたくさん咲いて、こんもりとしたボール状の株姿に。苗も流通しますが、大株の鉢花として出回ることが多く、最初からボリュームのある姿を楽しむことができるのもシネラリアの魅力です。
サイネリアという別名でも出回りますが、浅く切れ込みの入る大きな葉がフキに似ていることから、フキザクラという和名もあります。そのフキに富貴の字をあてた富貴ギク、富貴ザクラというおめでたい印象の和名もあるので、お正月の玄関先を飾る花にぴったり。耐寒性は強いものの、霜にあたると根が傷むので、地植えにせず、鉢植えで玄関先など屋根の下に置くのは、この花に適した管理方法でもあります。
キクと呼ばれたり、サクラにたとえられたり、いったいどちらなの?と思うのですが、花の形はキク、株を覆うようにたくさん花が咲いて華やかなさまはサクラのよう、という発想からの命名だそうです。原産地はアフリカ大陸の北西にあるカナリア諸島で、イギリスで作出された交雑種が元になり、どんどん改良されて多くの園芸品種が生まれています。
冬の間は室内で管理してもよいので、インテリアにも鮮やかな花色を利用できます。散歩道で遠目によく目立つ花色を見かけたら、ぜひ近づいて花形をチェックしてみてください。
栽培の難易度
温暖地でも霜に当ると根が傷むので、鉢植えにして霜が降りない場所で管理します。厳寒期には室内で管理するのもおすすめ。鉢植えの場合は、園芸用の培養土を利用して植えつけ、緩効性肥料を混ぜておきます。水やりは表土が乾いたらたっぷりとを基本に。花に水がかからないように、土に直接しみ込ませます。株元まで花が覆うので、過湿にならないよう水のやりすぎに気をつけます。花は上のほうから咲くので、終わった花がらはこまめに切り取り、黄色くなった下葉も切り取って、株の中を風通しよく保つようにします。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。