365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
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草丈が低くコンパクトな園芸品種‘ガーデンガールズ’。蕾のときから色づくのがかわいらしい!■属科・タイプ:ツツジ科の常緑低木
■花期:9月〜翌年1月
花穂のように見える枝がたくさん出て華やか
イギリスではエリカをヒースと呼びますが、もう1種、ヒースと呼ばれる低木がカルーナです。エリカと同じツツジ科ですが、属が異なるので近縁種になります。カルーナには掃くという意味があり、この木の枝でほうきを作っていたことから名づけられました。
本来は低木で、放任すると80cmほどの樹高になりますが、日本では小さな苗がこの時期に多く出回り、冬の寄せ植え花材としてとても人気があります。花のサイズはエリカより小さいものの、枝の上から下まで花がずらりと並び、まるで花穂のように見えるので、寄せ植えではアクセント的存在として活躍します。
花は秋から咲き始めますが、花弁に見える部分は花ではなくがく片で、花後もそれが残るため花が咲いているように見えて長く楽しむことができます。
冷涼な環境を好むので、温暖地での夏越しは少し難しいですが、寒冷地であれば、夏越しして秋に咲く花を楽しむことができます。鉢の寄せ植えで楽しんだあと、地植えにして大株に育ててみてください。
最近ではさまざまな園芸品種が出回り、とくに草丈がコンパクトで花が密につく‘ガーデン ガールズ’はとても人気があります。また、八重咲きタイプでボリューム感がある品種も出回っています。
クリスマスからお正月にかけて、寄せ植えを作り、玄関前や門の脇などに飾るのもおすすめです。散歩の途中でカルーナの寄せ植えを見かける機会もけっこう多く、カルーナ、人気があるなぁと思いながら楽しませてもらっています。
‘ガーデンガールズ’を、冬から楽しめるビオラやアリッサムと寄せ植えしているのを見かけました。動きのある細い花茎がいいアクセントになっているなと感じました。栽培の難易度
荒れ地でも育つ丈夫な性質ですが、高温多湿な環境に弱いので、夏は日陰になるような、風通しがよい場所で、水はけのよい土壌に植えつけます。植えつけ時に元肥を施せば、追肥の必要はありませんが、乾燥にはそれほど強くないので、葉が乾いてちりちりとしているときには水やりします。地植えの場合は水やりは雨まかせでかまいません。花が終わったら、古い枝や枯れた枝を取り除き、伸びすぎた枝を切り戻します。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。